結婚指輪の歴史 2017年10月14日
結婚を視野に入れたとき、何を考えどのような準備をしますか?夫婦で行う準備の中でも、楽しみの一つに指輪選びがあります。
様々なブランドが様々な素材の結婚指輪を販売しています。考えるべきは、ブランドでしょうか?カルティエ、ティファニー、ハリーウィンストンなど、聞いたことのある名前の指輪を選んだほうがいいのでしょうか。最も考慮すべきは、お互いの気持ちです。二人で納得のできるものを選びましょう。
結婚指輪とはなにか、歴史を紐解きます。指輪に対する見方が変わりますよ!
Contents
結婚指輪とは?婚約指輪との違いは?
結婚に伴う指輪は2種類あります。結婚指輪と婚約指輪です。結婚指輪とは、結婚後に夫婦揃って身につける、夫婦の証、既婚である証です。夫婦それぞれが、これからの生涯を共にする相手への愛と忠誠を誓うしるしです。毎日着用することを前提とした素材やデザインで選ぶ方がほとんどで、プラチナ素材をイメージする方も多いでしょう。
婚約指輪は、男性から女性に対して贈られる指輪です。男性が指輪の箱をパカっと開けて、「僕と結婚してくれますか?」とプロポーズするときの『パカっと開ける指輪の箱』の中に入っているのが婚約指輪です。ダイヤモンドが使われたデザインを選ぶ男性が多いと言えるでしょう。
結婚指輪の始まりと考え方
結婚指輪や婚約指輪は、ロマンチックな響きがありますよね。しかし指輪の歴史の始まりは、ロマンチックなものではありませんでした。
結婚指輪の歴史は、4800年以上前の古代エジプト時代から始まっていると言われています。指輪の形は、丸い形をしています。この丸い形(円形)は、永遠の象徴とされ、女性に指輪(円)を贈ることは終わりのない愛を示すと考えられました。指輪が描く円の中心にある穴にも意味が見出されており、これまでとこれからを繋ぐ門となる、と考えられていました。
麻や葦などの素材からだんだんと革、骨や象牙で作られるようになり、高価な素材で作った指輪ほどに、贈る側がいかに裕福であるか、財産を持っているかを示すものであったと言われています。
古代ローマ人にとっての結婚指輪
古代エジプトから古代ローマへ伝わった指輪の文化ですが、古代ローマでも変わらず、結婚は愛し合う者同士が恋愛を経て結ばれるものではありませんでした。家同士の利害関係に関連して、花嫁は花婿の家に売られるという考え方でした。そのため花婿は指輪を、花嫁を得たしるし・対価として花嫁の父親に贈ったと言われています。
花嫁自身は、金と鉄の指輪を得ます。金の指輪は大変高価なもので、花婿の財力の豊かさを示すものでした。金の指輪は高価な素材なので、外出時に着用する、対外的に見せるものでした。鉄の指輪は、家で過ごす時に着用したと言われています。女性は売り買いの対象のように扱われ、売約済みの札であった、と表現するとわかりやすいでしょうか。
中東での指輪の歴史
約2000年前の中東では、結婚指輪としてパズルリングが着用されていました。これはひとつに見えるが実はバラバラになる、しかしパズルのようにピタリとはめればまたひとつになる指輪です。知恵の輪のようでピタリとはめるのはなかなか根気のいる作業です。このリングのねらいは、方法がわかる人ならば組み立てられるけれど、組み立て方がわからないと組み立てられないというもの。旦那さんのみが組み立て方を知っていて、奥さんに着用してもらう。しかし奥さんが外してバラバラにすれば、組み方が分からないとバラバラのままです。こうなると「どうして外したんだ?自分がいない間に指輪を外して何をしようとしていたんだ?」となるわけです。指輪を外さず崩さないことが指輪を外さなかった証明、浮気をしていない証拠になるという、面白い指輪です。
なぜ結婚指輪は左手の薬指にはめるの?
左手の薬指に指輪をしていると、一目で「結婚している」「結婚指輪だ」とわかりますね。いつからこの指に着用する習慣があるのでしょうか?これは指輪文化の発祥の地である古代エジプトと古代ローマの時代の考え方から習慣づいています。
現代人は、心臓と脳について、心臓は血液のポンプ器官、脳は体に信号を送る器官であると理解していますね。心臓に続く静脈が通っているのは、薬指だけではないことも確かです。
しかし当時は、左手の薬指には心臓に続く静脈が通っている、心臓は心臓と脳の両方の役割を果たしていると考えられていました。また、左手の薬指はラテン語で「愛の静脈」と呼ばれていました。左の薬指に着用することで全てを捧げているという重要な意味を込められるために、左手の薬指に着用するようになったと言われています。
現代の日本では、多くの女性が左手の薬指に婚約指輪と結婚指輪を着用します。男性も左手の薬指に結婚指輪を着用します。
結婚指輪をはめる指は、国・宗教・文化によって異なります。結婚前は左手の薬指につけ、結婚後に右手の薬指に移す。逆に、結婚前は右手の薬指につけ、結婚後に左手の薬指に移す。このように指輪を着用する位置を移動させる文化がある国もあります。例えば現代のドイツ・オーストリア・ポーランド・ブルガリアでは結婚指輪は右手の薬指に着用します。なぜかというと、指輪を着用する文化が古代エジプト〜古代ローマからだんだんと世界中に広まるにつれ、宗教により左手と右手の手の意味が異なったり変わったりする中で、指輪を着用する手が変わったためです。各宗教や各国にそれぞれの理由や歴史があります。
第二次世界大戦頃から、夫婦揃って着用するようになった
1940年頃まで、結婚指輪は女性のみが着用するものでした。男性も結婚指輪を着用するようになったのは、戦争がきっかけです。結婚したが戦場に赴かなくてはいけない兵士たちが身につけるようになったことから、男性も結婚指輪を着用するようになったと言われています。
戦争は人間の歴史に多大な影響を与えた出来事ですが、指輪だけでなくドッグタグなど、アクセサリー装身文化にも大きな影響を与えていますね。
日本における指輪の歴史
日本古代からの宝飾品・装身具品として脈々と受け継がれたのは、髪飾りです。日本人が指輪を着用するようになった歴史は非常に浅く、敗戦・終戦後に西洋文化が日本へ流入するとともに、指輪や結婚指輪を身につける文化が根付きはじめました。
「婚約指輪は、給料の3ヶ月分が目安です」、このフレーズをテレビの画面に堂々と表示させ音声を流し、大きなダイヤモンドの指輪を見せるコマーシャルを放送したのは、ダイヤモンドを扱う巨大企業であるデ・ビアス社です。こういったマーケティング手法で、婚約指輪を贈りプロポーズする習慣や、結婚指輪を着用する文化がだんだんと広まりました。このCMが放送されたのは1960年代ですから、日本における指輪文化は60年程の短い歴史です。また、敗戦に伴い日本に入ってきた西洋文化は主にアメリカの文化でした。そのために多くのアメリカ人が着用するように左手の薬指に指輪を着用する文化になったと考えられます。
最後に
歴史を知ることで、結婚指輪に対する見方は変わりましたか?
結婚指輪の歴史は約5000年、対して日本の結婚指輪の歴史は約60年です。文化自体は国・地域や宗教の違いに揉まれながら変遷してきました。
日本人は、宗教を信仰していない無宗教の人でも、仏教徒の人でも、左手の薬指に結婚指輪を着用する人がほとんどです。反対に言えば、日本における結婚指輪の歴史は短いだけに、夫婦のルーツや歴史のある結婚指輪を選びたいですね。アメリカが好きならティファニーやハリーウィンストン、フランスが好きならカルティエ、イタリアが好きならブルガリ、デンマークや銀が好きならジョージ・ジェンセンなど、夫婦2人の歴史を汲んだ結婚指輪を選ぶといいかもしれませんね。
指輪やジュエリー、持ち物に対して、ブランドが好きでブランドにこだわる人が一定数いる反面、ブランドや金額にこだわりを持たない人も増えてきています。自分の使うものは自分の意思で吟味して納得して選んでくださいね。
四年制大学を卒業後、東証一部上場企業に入社し約6年勤務。転職し、翻訳会社で約1年3ヶ月勤務後、現在はIT企業でグロースハック・編集・執筆の仕事をしています。福岡県の海辺の町で育ち、ハワイに行ったことがきっかけで最初の転職をし、こちらのお仕事も海が繋げてくれたご縁だと考えています。読書・映画観賞・美術館博物館巡り・料理を作りながらお酒を飲むこと・食べること・砂浜の波打ち際を裸足で歩くことが好きです。