ダイヤモンドと言えば永遠の輝き。その強く眩い唯一無二の美しさは、ラウンドブリリアントカットに代表されるように、カットが決め手になるのは周知の事実。

しかし昨今あえてファセットカットを施さない、斬新なダイヤモンドジュエリーが人気を集めているそうです。今回はちょっと斜め上の美しさ、オリジナリティーを感じられるスライスダイヤモンドをご紹介したいと思います。

スライスダイヤモンドってなに?

スライスという言葉を聞いて思い出すのがキュウリ、レモンなどでしょうか。シュシュッと数ミリに野菜、果物を薄切りするだけで、いつもの食卓も若干彩りが良くなります。

ここではそんなスライスダイヤモンドというありそうでなかった、ダイヤをスライスするという観点からその実態について迫ってみたいと思います。

フラットダイヤモンドなる新しいダイヤの楽しみ方

ブラックティーにポッカのレモン汁を振りかける、もしくは丁寧にスライスを施したレモンを浮かべるか?、あなたの理想のティータイムはどちらでしょうか?多くの方はフレッシュレモンのスライスを浮かべた、目にも舌にも楽しく美味しい後者を選ぶはず!

それと同様にダイヤモンドをスライスしてみたら、また斬新かもということでダイヤの原石をそれは薄く薄くスライスしたものをスライスダイヤモンドと言います。もしくはフラットダイヤモンドというコマーシャルネームも昨今は多く耳にします。

スライスでもフラットでも意味合いとしては同様で、幾多にも及ぶファセットカットは施されず、どこからどう見ても平面なダイヤモンドスライスです。ただし光が反射するように若干平面にファセットがあるものもあります。

またパビリオン面がない為その重さ自体は軽いのですが、カット面の表面積が広い為、カラットの割には大きな存在感を与えてくれる点はメリットと言えるでしょう。

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世界に一つ!?内包物が見せる世界観がスライスダイヤの見応え

同じようなカットで研磨されたダイヤモンドは素人目には全て同じ見えてしまうという方もいると思います。光輝くいわゆる世間一般が望むダイヤモンドのあるべき姿を追求するのであれば、そのカットに神経質にならざるを得ません。

しかしスライスダイヤの場合は、カット面は1面のみの究極にシンプルな研磨。厚さで例えるならば約1ミリ程度でしょうか。インクルージョンにそのカラーも全てがスライス面から筒抜けになる、そんなダイヤモンドが育まれた世界観を実感できる、それがスライスダイヤモンドの持つ見応えです。

ダイヤモンドにはダイオプサイト、パイロープガーネット、黒雲母などの他鉱物を内包したり、クラウドといった雲状の曇り、グラファイトなど様々な内包物を有します。

通常これらのインクルージョン自体が4C要素のクラリティーに影響を及ぼしその価値を低下させますが、スライスダイヤモンドの場合はインクルージョンこそがその醍醐味!

ルチルの針状結晶が美しく混在していたり、グラファイトがまるでトラピチュエメラルドのような模様を形成するようなアーティスティックなインクルージョンを有するスライスダイヤは、芸術的価値が高く評価されることは言うまでもありません。

薄くスライスしたダイヤモンドは例えるならば真っ白なキャンバス地。どんな図が描かれたダイヤモンドを選ぶのか、それはあなた次第。

まとめるとスライスダイヤモンドは、ダイヤモンドの分散力、屈折率の高さを主張するものではなく、その内包物を楽しむ、そしてモース硬度10のダイヤモンドをあえて薄くスライスするという異端さこそが鑑賞のポイントになってくるのです。

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フラットダイヤモンドジュエリーの人気はここから始まった!?

日本に留まらず世界のあちらこちらでピンキリのスライスダイヤモンドのジュエリーラインが展開されています。ここではそんなモードの仕掛人から、フラットダイヤモンドのジュエリーの具体例までを解説していきたいと思います。

スライスダイヤモンドのモードはこの人から始まった!

ダイヤモンドにはうるさいという女性であっても、スライスしたダイヤモンドの存在を知っている方は少ないのではないでしょうか?以前には古のカット方法であるローズカットダイヤモンドが人気を博しましたが、それに次ぐのがインクルージョンを愛でるスライスダイヤモンド。

その人気に火をつけたのは日本のIという有名なアラフィフ美魔女女優。一年を駆け抜けたご褒美に自分へのご褒美という名目でジュエリーを買ってしまう女性は多いですが、このIもその一人。

特にI女史はWilliam Welsteadと呼ばれるジュエリーデザイナーの作品には目がないそうで、日本の美魔女信者の女性も「私もIさんの美貌にあやかりたい!」と言わんばかりに、彼の紡ぐクリアで静かな輝きを放つスライスダイヤモンドを購入しているとかいないとか……。

またハリウッドでは歌手のリアーナがフラットダイヤモンドのネックレスを身に着けていたこともあり、昨今ジワジワとその人気を集めてきているのです。

ジュエリーのモードに関してもその殆どは著名人や歌手、セレブリティーが火付け役になっていますが、今後も地味にスライスダイヤモンドの魅力に引きずり込まれる女性が出てくると予想されます。

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どこで、どんなスライスジュエリーが購入できる!?

まずはじめにダイヤモンドスライスジュエリーはそこまで一般的ではありません。有名百貨店やジュエリーブランドはファセット面が多いいわゆる通常のカットダイヤモンドばかりで、スパッと薄切りにしたダイヤモンドはほとんど取り扱っていません。

スライスダイヤを扱っているのは、いくつかのメーカー商品や件のWilliam Weslteadなどの作家作品がほとんどです。(勿論個人のジュエラー等でもスライスダイヤを購入することは可能です。)気になるお値段に関しては数万から数百万と開きがあり、一概にその値段の平均値を出すことはできません。

同じような内包物、大きさそして形のスライスダイヤモンドはなく、お店によってはいくつか用意されたスライスダイヤモンドルースをチョイスしてからセミオーダーの形で制作するところも多いようです。

またダイヤモンドだけでなくスライスエメラルド、サファイアやルビーなども少ないながらジュエリー加工されているので、色石の方が好みという方はそちらをチョイスしてみてはいかがでしょうか?

スライスジュエリーを愛用する上での注意点まとめ

基本的にある程度のモース硬度が無ければ数ミリの厚さに均等にカットすることはできません。つまりスライスされる宝石は一定以上の耐久性を持っている宝石であることが条件になる為、日常的に利用する分には大きな問題はありません。

スライスダイヤモンドの場合も同様ですが一方向に割れやすい劈開性を持っていること、そして比較的薄い地銀に留められていることが多いので、激しいスポーツや水洗いをする際などは着用しない方がベターと言えるでしょう。

まとめ

スライスダイヤモンド、一度その深い世界観に触れてしまうとなんだかとても気になってしまいますね!

ダイヤモンドと言ってもインクルージョンによっては全くダイヤモンドには見えないもの、冷ややかで氷菓子のようなルックスもあれば、イエローまたはブラウンなどのカラーダイヤモンドのスライスなど様々です。

通常のリング、もしくはチェーンリング、シック&ゴージャスに決めたいならばスライスダイヤのネックレス等、TPOに合わせて真ん中よりちょっと左上あたりのフラットダイヤを楽しむ、そんなお洒落もなかなか素敵かもしれません。