待ちに待った赤ちゃんの誕生、ソワソワと浮足立つ気持ちのベクトルはどこへ向けよう?新しい家族が生まれるその瞬間はお母さん、家族にとっても生涯忘れられない一瞬のはず。それならばその生誕を、リングにしてプレゼントしてみるのはどうでしょうか?
今回は赤ちゃん用のベビーリングの歴史、由来から、選び方まで徹底解説していきたいと思うので、赤ちゃんの為のスペシャルを考えている方は必見です。
ベビーリングって何だっけ?
その言葉は知っているけれど、いまいちベビーリングの役割、機能が分からないという方も多いと思います。ここではまずベビーリングの歴史からそれらの役割について考察していきましょう。
赤ちゃんに指輪を贈る習慣とその歴史について
私が住むスペインではリングではないものの、新生児にピアスを送る習慣が良く見られます。まだ生まれて数か月も経っていない乳児に、耳にゴールドやプラチナのピアスが止まっていることも少なくありません。
地域、そして年代によって赤ちゃんに送るものは幅があります。しかし生まれた子供の生誕を記念してプレゼントを行うことは非常にポピュラーで、欧州、アフリカ、アメリカ大陸、アジア圏、それぞれの土壌や文化に沿う形で何かしらのジュエリーが送られてきました。
西洋の裕福な家庭の子供の肖像画を見ていると、新生児と思しき子供がクロスペンダントを握っていたり、小さな指にダイヤモンド、ガーネットなどの貴石、半貴石がセットされたリングを付けている姿も見かけます。
なおダイヤモンドが多く使われたその理由は、子どもの輝かしい未来をダイヤモンドになぞらえ、半貴石が使われた理由はその誕生石に由来します。
時代を下ればもっと原始的な骨や貝、動物の毛を使ったアクセサリーやタリスマン、シンプルなジュエリーが主ですが、宝飾加工技術が発達するにつれより豪奢な物へと変換していきました。特に17世紀の彫金職人はもはやアートの域まで達し、涎掛け用のピンや疫病避けの効果があると信じられたポマンダーにもそれは素晴らしい加工が施されました。
それぞれの時代に流行があり、その地域の文化レベルに沿う形で新生児用のジュエリー文化も花咲いていったのです。
気になるのが、まだ分別が付かない新生児になぜジュエリーを贈るのか?という理由ですが、以下のようなことが考えられます。
① 邪眼を防ぐ目的
② 家族、権力の誇示
③ 実用性を兼ねた芸術品として
大きく分けてこの3つの理由に分かれますが、このように新生児にジュエリーを贈れる経済力がある者は限られており、いわゆるステータスシンボルの側面が大きかったようです。そして新生児がスクスク育つように願った、21世紀の私たちと変わらない当時の親たちの願いが、邪眼避けという魔除けの側面を強くしていきました。
現代では親と子どもの絆、思い出の形として贈られることがほとんどですが、宝飾史から紐解くとなかなか興味深い歴史がある、それが新生児用のジュエリーなのです。
ベビーリングの使い方まとめ!乳児が指輪を付けても大丈夫なの?
昨今ベビーリングの存在感に注目が集まっており、次にコウノトリ来たその時は、ぜひベビーリングを贈りたいと思う方も多いそうです。ベビーリングは通常新生児に装着するというよりは記念品としての役割が強く、指に直接嵌めるのは写真撮影などの時のみに留めるべきでしょう。
なぜかというと、子どもは何でもかんでも口にしてしまう悪い癖があるので、ベビーリングを日常的に身に着けるのは現実的ではありません。最近の傾向としては、写真にその姿を収めた以降は、お母さんの胸元にチェーンリングとして肌身離さず身に着け(または記念日に身に着ける)、子どもが大きくなったその暁に改めてベビーリングをお子さんにプレゼントするというパターンです。
また短めのチェーンに通して、お子さん自身がお守り代わりに身に着けるという声もよく聞きます。
勿論ベビーリングの活用、アイデアは人それぞれなので、こうあるべき!という規則はないので、家族史の一つを彩るツールとしてはかなり優秀かつ面白いものになっていくのではないでしょうか?
必見!ベビーリングの選び方!そのデザイン、素材に宝石まで
ルネサンス~バロック期のベビーリングは、それこそダビデの星や磔刑像など複雑な図像に大人顔負けの貴石がセットされることも少なくありませんでした。しかしモダンベビーリングはそこまで芸術的要素は強くないものの、オリジナリティーを追求したリングがズラリ。
ここではベビーリングの選び方から、留意したい注意点についてまとめてみたいと思うので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ブランド?それともオーダーメイド?その選び方はあなた次第
現代でも社会的地位を示す為にベビーリングを中心としたベビージュエリーを購入する方もいますが、日本においてはもっとカジュアルな生誕のお祝いに贈られています。ベビーリングはいわゆるメモリアルジュエリーの一つですが、日本国内のメーカーや工房等でも取り扱っているところもあるので、そのオプションも意外に広くなっています。
ジュエリーは大人だけのものではなく、子どもも一緒に楽しめる、それが現代流のジュエリーの在り方なのです。
モードとしてはお子さんの誕生石をセンターにセットしたり、お母さん、お父さんの誕生石をサイドに入れる、またはお子さんのイニシャルを刻んだシンプルなバンドなど様々。ベビーチェーンと共に購入できるところもあるので、誤飲の心配なくリングを楽しむこともできます。
また唯一無二のデザインリングを制作することも可能です。金属アレルギーの有無によってベビーリングの選択肢が狭くなることもありますが、オーダーメイドの場合は素材選びにデザイン、利用する宝石も自由に選べるので親子で楽しみながら世界でたった1つのリングが完成!
制作例としては両親の結婚指輪と似せたデザインの物、または親子で共通のデザインのリングを3本作る方も少なくありません。また手持ちのジュエリーや代々受け継がれてきたリングを加工し直して、ベビーリングの制作をする方も。
基本的にベビーリングは非常にサイズが小さい為、地銀代が抑えられることもあり、既存のデザインで1万円台~、オリジナルオーダメイドでも5万円程度で制作可能なので、あまりお財布のひもを気にせずに購入できる点も嬉しい限りです。
ベビーリングを選ぶ際に注意したいポイントまとめ
ここでは総括としてベビーリングを選ぶ際のコツ、注意点などを解説していきたいと思います。
① 派手過ぎず、普段使いしても浮かないデザインのものを選ぼう
身に着ける方はお母さんであったり、お子さん本人であったり、それぞれのケースによって異なりますが、あまり張り切り過ぎてしまうと、後々改めて装着した際に浮いてしまうことも。
そのため特にオーダーメイドの際には、今後の利用についてもよく考えて、いつの時代も色あせないスタンダードなデザインを選ぶべきでしょう。
② リングサイズが小さい為、刻印スペースが確保できず、長いメッセージが入れられない場合がある
リング内部または外部に名前やイニシャル以外にも、生誕日、体重やメッセージなどを刻印する方がほとんどです。しかし赤ちゃんのリングサイズは大変小さい為、もし赤ちゃん用のサイズでリングを制作する場合は、その大きさによっては希望の文字が収まり切れない場合も出てきます。
その為文字数を限定するか、もしくはネックレス着用を念頭に大人のサイズでベビーリングを制作するなど、状況に合わせてリングサイズ、刻印を調節していきましょう。
③ 万が一サイズ変更をする場合、金属によってはリング変更が限りなく難しい場合も
世の中には酸化被膜によるレインボーカラーが楽しめるレアメタルのリングも人気を集めていますが、これらの素材は加工が非常に難しく、サイズ変更に対応していない場合がほとんど。もしレアメタルでオーダーメイドリングを制作したい場合は、リサイズができないことを念頭にサイズを決定しましょう。
④ 日本、海外に限らずブランドによってはベビーリングを扱っていないところもある
日本、海外ともに知名度はあってもベビーリングを用意していないブランドも少なくありません。ベビー商品として小さなシルバースプーンやオブジェなどを製品ラインに加えているところはありますが、ベビーリングが商品ラインナップにない場合も多いので、ブランド志向の方は要注意。
まずお目当てのブランドにベビーリングがあるのかを確認し、ない場合はオーダーになりますが、加工料金よりもそのネーミングプライスが高くつくことも多いので、お財布と相談の上オーダーを依頼するかを決めてくださいね。
ベビーリングを選ぶ際の注意点をいくつかまとめていきましたが、参考になりましたでしょうか?ベビーリングは必ずしも必要とは限らない為、その是非に関しては意見が分かれるところ。
しかしお子さんが健やかに育ちますように、そんな願いをジュエリーに託すのであれば、もはやこれ以上ない、赤ちゃんへのファーストプレゼントになること間違いなし!
まとめ
今回は生まれてきてくれてありがとうということで、新生児用のベビーリングについて解説していきました。宝飾史では生まれた時、子ども時代、婚約に結婚、そして死別時など人の人生の各区切りで、何かしらのジュエリーを贈ってきた歴史があります。
ベビーリングを贈る習慣自体は日本ではまだ根付いていないものの、欧米諸国ではここ10年ベビーリングにあらたな注目が集まり、新生児に贈られてきているので、何かスペシャルな思い出を残したい!という方は、ぜひベビーリングという選択肢をチョイスしてみてはいかがでしょうか?