もはやトルマリンの代名詞と言っても過言ではないパライバトルマリン。興味があるけど、パライバトルマリンのこと、イマイチ分からない!そんな方にお届けしたい、今回はパライバトルマリンの鉱物的特徴から値段、そして取り扱いの注意点までを徹底検証したいと思います。これであなたもパライバマニアになれるかも!?

マツコも大絶賛!パライバトルマリンが美しすぎる!

一家に一粒のパライバを……ということで、ここではパライバトルマリンの美しさの秘密に迫ってみたいと思います。そして話題のあのマツコさんとパライバ、いったいどんな因果があるのでしょうか?

【宝石】パライバトルマリンってどんな宝石?【ブラジル】

オパールと並び10月の誕生石として知られるトルマリンの中でも、世界三大希少石に数えられるのが今回ご紹介するパライバトルマリンです。モース硬度は7~7.5、石内にプラス極とマイナス極を持ち自ら電気を発するため、和名は「電気石」と呼ばれています。

石言葉は「友愛、真実、勝利」でジュエリー以外にも、パワーストーンとしても人気が高いことは言うまでもありません。

パライバトルマリンは、鉱物マニアの興味をそそるトルマリンの中でも、特に銅の含有率が高い場合、あの特徴的なネオンブルーを呈します。ただしパライバと形容がついても、銅の含有率の少なさ、またマンガンやチタンなどにより、様々な色合いを見せてくれます。

このパライバトルマリンは1987年、ブラジルのパライバ州サン・ジョセ・ダ・バターリャ村にて、エイトー・ディマス・バルボサなる人物によって発見されました。パライバトルマリンの名前の由来は、ブラジルの州からとられたものですが、この銅をふんだんに含んだトルマリンは1991年までにほとんどを採掘し切ってしまいました。

現在は同国の他州にあるムルング、キントス鉱山、やモザンビークでパライバトルマリンが少量ながらも採掘可能です。以前はナイジェリアでもパライバトルマリンが発掘されましたが、現在は枯採しています。

現在進行形で流通しているもののほとんどはモザンビーク産になりますが、実際は世界各地のミネラルフェアーでバターリャ産のパライバトルマリンが売買されることは意外に多く、お金さえあれば良質なパライバトルマリンの最高級品を購入することは可能です。

一般的にブラジル産のパライバトルマリンは銅の含有量が多く鮮やかなブルーを呈するのに対し、モザンビーク産やナイジェリア産のものは発色の異なるグリーン系の物が多いのも覚えておきましょう!

ちなみに歴史の非常に浅い宝石なので、パライバトルマリンのアンティークジュエリーまたはヴィンテージジュエリーというものは存在しません。しかしそのネオンカラーは特にイエローゴールドとの相性が抜群なので、アンティーク調のゴールドジュエリーに加工したら大変華のある味わい深いジュエリーになるのでは?と個人的に思っております。

https://www.pinterest.jp/pin/358036239099825942/

https://www.pinterest.jp/pin/316448311287784493/

マツコが騒いでパライバ人気が過熱!?

存在感も毒舌もデラックスなマツコさん、彼女がテレビで紹介する商品はことごとく商品棚から消えてしまうという現象がみられる昨今ですが、実は彼女もパライバファンなんですね!

彼女が出演する某番組では、御徒町とインドを行き来する敏腕インド人バイヤーが登場し、それは凄まじいカラットのパライバトルマリンを紹介し、視聴者の度肝を抜きました。

マツコデラックスさんの影響力は良くも悪くも非常に強い伝染性があり、この影響もパライバトルマリン市場を揺るがしたとか揺るがさなかったとか……。

気軽に楽天やアマゾンでポチッとできる価格の宝石ではありませんが、パライバの魅力を流布させ、そしてその美しさを視聴者に知らしめたその事実は、さすがの一言ですね。ただ彼女の場合はそれこそ20カラット程度の大きさがないと、天下のパライバといえど、なかなか目立たないかもしれませんが。

私にも買える?パライバトルマリンの価格とその価値の動向

流行に便乗してもしなくても、宝石に完全無知だとしても、果たしてパライバトルマリンにココロ奪われない方はいるのでしょうか?

思わずその指、首、耳先を見入ってしまうその石力!パライバトルマリンをがんばった自分へご褒美したい!でもいったいどれくらい諭吉が必要なの?そんな疑問について、パライバトルマリンの魅力を交えながらお話ししたいと思います。

パライバトルマリンの値段は何が決め手?!

パライバトルマリンはもはやその希少性と美しさが値段を吊り上げる要素になっているわけですが、基本的に価値の決め手になるものは、

①カラット

②カラー

③透明度

④輝き

⑤テリ

⑥傷やインクルージョンが少ない

が重要になってきます。

パライバトルマリンだけでなく他の宝石にも同じことが言えますが、パライバトルマリンという宝石を特徴付けるカラーは特に大切です。

私達はパライバトルマリンと言えば=ネオンブルーの一択を考えがちですが、実際は薄い緑、バイオレット~ビビッドなブルーカラーまで、さすがトルマリン!と思えるバリエーションのあるカラーを見せてくれています。

日本に限らず大変な人気を博するパライバトルマリンではありますが、その殆どが小粒のものばかりなので、カラットが大きいものは非常に高額になることは言うまでもありません。ブラジル産のものは特に小粒なおかつ素晴らしいネオンカラーを呈するため、モザンビークやナイジェリアで算出される粒の大きな薄いカラーのものよりも、遥かに高い値段で取引されます。

カラット当たりの値段に関しては各々の石のカラー、テリ、インクルージョン等により異なりますが、それこそダイヤモンドよりも高額で取引され、1カラットあたり100万円以上する場合も少なくありません。

しばしハイジュエリーのオークションでもパライバトルマリンの特大ルースやジュエリーが出品されますが、以前に191.87カラットの「Ethereal Carolina Divine Paraiba 」と呼ばれるパライバトルマリンが登場し、そのままギネスブックに登録されました。気になるそのお値段は150億円を超えたそうです……。

いやはやパライバトルマリンの爆進はまだまだ続きそうですね。

https://www.pinterest.es/pin/88664686388731989/

加熱処理をするとその価値は下がる!?

澄んだイオニア海のようなコバルトブルーが眩しいパライバトルマリンは、シンプルに彩度の高いネオンカラーが高値となります。0.1カラットにも及ばないパライバトルマリンでも、ハッと驚くような存在感は女性のココロをただただ奪うばかり。

このパライバトルマリンのネオンカラーを実現するため、色味の薄い宝石にある種の化学、熱処理を行い発色をよくすることは頻繁に行われています。

通常加熱などのトリートメントを施したものは天然由来のものより値段が下がることが多いのですが、現時点で日本の各鑑別機関で加熱の有無を明確に判断することはできません。そのためパライバトルマリンに関してはトリートメントの有無が、ダイレクトにその宝石の価値に大きく影響することは現時点では少ないと考えていいでしょう。

投資目的としてパライバトルマリンは優秀なのか?

例えばダイヤモンドに関しては鉱山は世界中に散らばれど、デビアス社の相場コントロールにより、質・量のバランスの均等が保たれ、今も昔も変わらぬ価値を維持しています。しかし俗に言う希少宝石(パライバトルマリン、アレキサンドライト、パパラチアサファイア、タンザナイトなど)は、ダイヤモンドとはまた異なる採掘量が限られた希少性がウリなんですね。価格コントロールというか、むしろ原石が圧倒的に少ないため、大規模な新鉱山が見つからない限りは、その値段は安定的な高値をキープするのです。

パライバトルマリンに関しては、現段階で新たな鉱山の発見はありませんが、需要の多さと反比例する供給量の少なさをカバーすることはできないと思われるため、極端な値崩れの可能性はないと言えるでしょう。

投資目的として金、プラチナ、カラーダイヤモンドに次ぐ優秀性があるかについて、答えはイエスと言えますが、パライバトルマリンに関してもピンキリはあるので、上記の価値が上がる条件を備えた石を選抜できる鑑定目と資金は必須事項と言えます。

パライバトルマリンのルース、ジュエリーを楽しむ上で注意すべきこと

サファイアのサムシングブルーとは異なり、ネオンカラーのパライバトルマリンは他の宝石にはみられない人を惹きつける魅力があるように感じます。採掘場所、産出量も限定されているので、決っしてお手軽価格ではありませんが、一度パライバトルマリンジュエリーを購入したら、一緒に人生を歩む!くらいの愛情で身に着けて欲しい!

ということで、ここではパライバトルマリンを身に着ける上でのの注意事項についてお話ししたいと思います。

その類似石、模造石に気を付ける!

あまりの人気の高さゆえ、パライバトルマリンを語りながら、全く物の宝石もシレッと混ざっていることも少なくありません。偽物と一言で言えば簡単ですが、類似石・模造石・人造石・合成石の4パターンに分けられます。

簡単に説明すると類似石とはその色調や特性が似ている別物の鉱物を指します。模造石はガラスやプラスチックなどの完全なイミテーションのことを指し、人造石は人為的に作られた該当の宝石とは化学組成が異なる人工宝石、合成石とは該当の宝石と全く同様の化学組成を持つ人工宝石のことです。

偽物の定義がややこしい上に、最近はダブレットと呼ばれる下部を別の宝石やプラスチック、ガラスなどと接着させた、鑑定士泣かせの偽物も増えてきています。

パライバトルマリンの合成石は少ないですが、合成ベリルや合成スピネルによるもの、トルマリンの別カラーやアパタイトなどの類似石が混ざっているケースは少なくありません。特に価格の安いアパタイトがパライバトルマリンを称して、オンラインストアーで見かけることは非常に多いので、偽物を掴まされる恐れが少ない信頼のおける宝飾品店で購入することをオススメいたします。

超音波洗浄と急な温度変化は大敵です!

パライバトルマリンのモース硬度は約7~7.5程度なので、極端に脆弱な宝石ではありません。しかしあまりのキュートさがゆえ、付けっぱなしでパライバジュエリーを楽しむ方は多いことでしょう。

後述しますがパライバトルマリンはインクルージョン、クラックが多い宝石なので、過度な温度変化や衝撃、超音波に弱い傾向にあります。

そのためぬるま湯に中性洗剤を少量入れて、短時間漬けることで油汚れを除去したり、セーム革で優しく拭く程度に留めましょう。歯ブラシでのこすり洗いは、石によってはカット面を気付つける恐れもあるので、推奨はいたしません。

純粋にその美しさを楽しむ場合はインクルージョンを気にしない

パライバトルマリンは内部のインクルージョン(内包物)やクラックが多い鉱物的な特徴があります。通常これらの要素は鉱物的価値が低くなる傾向にあるのですが、実際インクルージョン、クラックが皆無のパライバトルマリンは非常に少ないのが現状です。

しかしそのビビッドなカラーは内部にあるインクルージョンやクラックを光を反射させ、絶秒な輝きを見せます。マンガンと銅が混ざり合うように内包するからこそのインクルージョン、それらの要素がパライバトルマリンの美を構成しているので、もはやインクルージョンを気にするのではなく愛でるべきなのかもしれません。

まとめ

今回は巷で話題のパライバトルマリンについてまとめてみました。歴史はないけれど、パライバという夢とロマンに魅せられた鉱夫達の血と涙の結晶が、こんな素晴らしい発色を見せる秘密になっているのかもしれません。

良質のブラジル産パライバトルマリンを手にする機会は年々減る一方。モザンビーク産のパライバが台頭していく中で、やはりいつかはその原点の最高のネオンブルーを手に取って愛でてみたいものですね。