以前にも宝石が持つ不思議なパワーについてコラムを執筆しましたが、今回はその第二弾ともいえる宝石が持つ伝説、石言葉というベクトルから、本当は怖かった宝石を徹底検証!

まさに怖い絵ならぬ怖い石、キラキラ光るその姿からは想像できない宝石の石言葉、そして言い伝えから見る宝石の別の側面にジリジリと迫ってみたいと思います。

プレゼントの際は要注意!?本当は怖い意味を持つ宝石

クリスマスに誕生日、はたまた記念日にジュエリーをプレゼント、(自分へのご褒美も含め)あなたはどんな基準で宝石、ジュエリーを選んでいますか?

予算、誕生石に投資対象?それとも直観でそれらをチョイスする方もいるでしょう。しかしそれぞれの宝石には、可憐に咲き誇る花々と同様に石が持つ言葉が宿っています。

あまり石言葉に精通している男性(または女性)は多くないと思いますが、あまり考えずに宝石を選んでしまうと、ちょっと痛い目にあうことも……。

ここでは宝石選びの参考にしてほしい、ちょっと怖い意味を持つ石言葉をご紹介したいと思います。

石言葉は花言葉ほど邪悪な石はない!?

宝石を選ぶ基準は人それぞれですが、その希少性と価値、美しさからダイヤモンド、サファイアやルビーなどの輝石は世代を問わず人気があります。

また誕生石を基準に宝石を選んだり、昨今大流行を見せているタンザナイト、パライバトルマリンやアレキサンドライトに目がないという方も少なくないでしょう。

宝石のチョイスはその見た目の美しさに依存しがちなので、それらが持つ宝石の石言葉に注視して宝石を選ぶ方は多くはありません。

しかし石言葉も花々が持つ花言葉と同様に様々な意味がこめられ、迷信として代々伝えられてきました。石言葉には花言葉のような、背筋が凍りつくような生々しい怖い意味の宝石はあまり見られません。

だからこそどんな宝石が不吉な意味を持っているのか気になる、それが私たちの知的好奇心というもの。ここではそれらの意味深な石言葉を持つ美しい宝石たちを紹介していきたいと思います。

それでもあった!不吉な石言葉を持つこんな宝石、あんな宝石

例えばアザミの「復讐」、エンドウの「永遠の悲しみ」、オトギリソウの「恨みや敵意」など、こんなダイレクトにじわじわ来るような、石言葉はありませんでした。

誕生石だけではなく1年を通した365日全てに、何かしらの誕生日石が制定されていますし、それらから漏れた宝石たちにも、石言葉がつけられています。宝石が持つ各々の個性のようなものとしてとらえればいいのでしょうか?

しかし中には花言葉ほどではないものの、えっ?と思えるような石言葉を持つ宝石があります。例えば石炭層の木が化石化した漆黒の琥珀とも呼ばれるジェットは、パールと同様に死者を偲ぶ装身具として愛されてきましたが、その石言葉は「忘却」。

身の毛もよだつ怖い石言葉とは言えませんが、モーニングジュエリー(喪に服する時、故人を追悼する際に身に着けるジュエリー)、または古来から魔除けとして使われてきたジェットらしい意味合いの言葉と言えますね。

お次はグリーンのマーブル模様が美しいマラカイト。こちらはパワーブレスなどに多用される宝石ですが、「危険な愛情、破邪、魔除け」などの石言葉を持っています。パワーストーンとして、邪気を払い、危険から持ち主を守ってくれると言われる、ありがたいマラカイトですが、危険な愛情という石言葉はやや引っ掛かります。

これはちょっと白線を踏み外した大人の恋愛をしている方は、避けたほうがいいのかもしれませんね!

続いては昨今パライバトルマリンに似ていると、市場を賑わせているアパタイトです。深海のブルーのごとく澄んだ青色が特徴のアパタイトですが、怖い石言葉を持っているのは、8月7日の誕生日石であるイエローアパタイト。

こちらの石言葉は「欺く、惑わす」といった、ネガティブな意味合いを持っています。この石言葉はアパタイトの原語であるギリシア語が由来になっているそうです。(apatasが、騙すというニュアンスの意味を持っているとか……。)

レモンイエローの美しいイエローアパタイト、宝石としてはあまりメジャーなものではありませんが、誘惑に弱い方は避けた方がいいかもしれませんね。

そして最後を飾るのが、ダイヤモンドの類似石であるジルコンの登場です。ジルコンの中でも8月13日(また8月!)の誕生日石に制定されているイエロージルコン、こちらの石言葉は「産みの悲しみ」。海の悲しみならなんだかロマンティックですが、産みの悲しみとは何を意味しているのでしょうか?

財力を司り、女性の出産時のお守りとしても人気が高いイエロージルコンですが、産みの悲しみ、これが死産や難産を暗示しているのかはわかりませんが、何とも意味深な石言葉といえますね。

石言葉は単なる宣伝文句?それとも……

石言葉のはっきりとした由来は、わかっていません。一説にはジュエリー業界が宝石の販売を促進するために石の効能と結び付けて宝石を売りさばいたとか、花言葉と対比されているなどともいわれています。

しかし宝石というものは旧約聖書の時代から、それぞれの宝石に特有の神秘的な力が信じられてきたのは事実であり、宝石の石言葉の礎となったものはローマの大プリニウスによる「博物誌」やレンヌの司教マルボゥドスの「石について」、などがベースになっているようです。

つまりプリニウスが生きたローマ時代~マルボゥドスが11世紀後半に記した不思議な石のお話ができる約1000年間に伝承されてきた石の意味が、宝石市場とリンクしながらモダンにアレンジされてできたものが、現在に伝わる石言葉なのでしょう。

誕生石はどちらかというと米国宝石協会による、ゴリゴリの宣伝活動が目的と言われますが、石言葉に関してはその効能における真偽はさておき、それなりの歴史と伝承に基づいたバックボーンがあるのです。

信じるか信じないかはあなた次第、しかし今回ご紹介したような意味の石言葉もあることを十分理解したうえで、宝石をチョイスしてくださいね。

脱石言葉!伝説、言い伝えによる縁起が悪い、気味が悪い宝石

不吉というか、ネガティブな石言葉を持つ宝石を紹介してきましたが、ここからはいくつかの伝説や伝承を通じ、いろんな意味で怖い宝石にターゲットを絞ってみたいと思います。

オパール

七色の遊色効果が美しいオパールは、伝統的に忌み嫌われてきた歴史がある宝石です。オパールの特有な美しさは、人々の心の移ろいを表し、愛の終わりを予言したと言われています。

また欧州の人口の30%以上が死に絶えたといわれるペストとも関連付けられ、ペスト患者が身に着けるとオパールの色が変化すると恐れられたそうです。

オパールと一言で言ってもブラック、ホワイトオパールにファイヤーオパールまで、それは脳裏に焼き付く強烈な美しさを呈する遊色効果は目を見張るものがあります。

しかしペストや飢饉が大流行し、魔女裁判など血生臭い話題で持ちきりだった中世に限れば、その美しさが邪悪なものとして誤解されても、無理はなかったのかもしれませんね。

ダイヤモンド

ダイヤモンドは征服できないものとして、古代ローマ時代からその圧倒的な呪術性やどんな鉱物で研磨しようとも削れない頑固な硬さから、珍重されてきました。

ダイヤモンドの鉱物的な性質から、持つ者を無敵にし、夜の亡霊や霊魂を追い払う、そして鉄を引き付けるなどの効能があると伝えられてきたダイヤモンド。

そんなポジティブパワー全開のダイヤモンドも、中世のころには毒薬として利用された歴史があります。つまりダイヤモンドをダイヤモンドでこすり合わせて、毒物として食べ物や飲み物に混ぜて暗殺を謀ったこともあったそうです。

実際ダイヤモンドが原因で死に至ったケースがあるのかはわかりませんが、当時の知識層はいつ何時ダイヤモンドを盛られて毒殺されないかと、神経をすり減らしていたそうな……。

真珠

不吉、怖いというか、えっ!と思う風習や伝統は私たちが思う以上に宝石と結びついているようです。ダイヤモンドやオパールに関しては中世の伝承として伝えられていますが、今現在日本の志摩半島や中国や韓国では、ちょっとびっくりする怖い(?)パールの風習が残っています。

聞いたことがある方もいると思いますが、その風習とは死者を葬る際に、その口に一粒の真珠を含ませるそうです!

つまるところ極楽浄土に行くために、いくばくかの金銭的価値があるものを持たせるという意味合いで真珠が用いられるのでしょうね。

現在でも紙幣を棺に忍ばせることはしばし聞きますが、まさか真珠を口に入れるとは……ちょっとしたカルチャーショックを感じずにはいられませんね。

因みに宝石の石言葉は儀式的な要素とはかけ離れた、「健康や長寿」といった喜ばしい石言葉となっていました。

まとめ

宝石の価値はその市場価値、カットにカラット、希少性だけで決めることはできません。その宝石を手にした時の心境、または愛情、そんな目には見えない価値が、宝石の価値を決めていくのです。

石言葉がなんだか否定的だから……、または民間伝承で不吉な宝石と伝えられているからと言って、イコール身に着けるべきではない、と決めつけるのはナンセンス!(宝石とは自分の好きなものを、ベストタイミングで購入し愛でるべきなので!)

しかしプレゼントをする際には、そんな宝石のネガティブな意味に神経質になる方(特にパワーストーン女子など)や、ある種の先入観を持ってしまう方もいるので、相手の好みと同様にそれぞれの性格を把握して宝石を選んでくださいね。