遺骨ダイヤとは?メモリアルダイヤの特徴について
皆さんも遺骨ダイヤという単語自体は、一度くらい聞いたことがあることでしょう。簡単に説明すると、炭素でできたダイヤモンドの化学的組成に目を付けて、遺骨から人工ダイヤモンドを制作するプロセスのことを指します。
合成ダイヤモンドは人造、模造、または類似石とは異なり、天然ではないものの化学的組成や性質は天然ものと全く同一の宝石になります。つまり遺骨、遺灰、頭髪や爪、また動物の場合は羽や皮などから抽出した炭素を元に高温高圧下でラボにて合成し、世界でたった一つの思いと愛が詰まったダイヤモンドに生まれ変わるのです。
またこれらのメモリアルダイヤは、ガードル部分にレーザー刻印をすることもできます。(研磨をせずに原石のまま受取りたい場合は、レーザーでの刻印はなされません。)
気になるダイヤモンドの評価基準である4Cに関してですが、カラットは0.1以下のものから1カラット、カットに関してはラウンドブリリアントカット、プリンセスカット、ラディアンスカットなどから選択可能です。
またクラリティーに関しては、カラーと同様に遺骨の状態によって内包物や表面の傷が異なるため、SI~VVIまでのグレードで指定をすることは原則できませんが、GIA、IGIなどによる鑑定書が発行されます。
天然ダイヤモンドが育まれるステップとは、全く異なる環境下で生成される遺骨ダイヤではありますが、遺骨に含まれる炭素によって、それぞれ異なった色合いのダイヤモンドが合成されるのは興味深い点です。現在では技術の向上により、一般的であったイエロー、ブルーだけでなく、ホワイト、レッド、グリーンなどのカラーバリエーションが提供できるようになり、故人の愛した色をダイヤモンドに反映することもできるようになりました。
日本でも随分認知されてきたメモリアルダイヤモンドではありますが、特許の関係上日本国内での合成はできません。現在稼働している施設が限られていることもあり、カラットにもよりますが、メモリアルダイヤモンドが完成するまでには、約4~9カ月程度時間を要します。
つまり日本に点在する代理店は全てアメリカ、スイス、スペインなどの企業に遺骨ダイヤモンド合成を委託し、そしてジュエリー加工のみを日本で行うのが一般的です。(ルース、原石をご自分でジュエリーに加工することももちろん可能です。)
メモリアルダイヤの気になるお値段はどれくらい?
亡くなった故人は魂となり、そして残された遺骨、遺灰などから少しの重量を持ったダイヤモンドが生まれる。プロセスは全く異なりますが、数百年前に髪で編みこまれたジュエリーが愛用されたのと同様の愛の重さに思わず涙がホロリ。
宝石の王様ダイヤモンドを形見として毎日身に着けられる喜び、悲しみを乗り越えられる一つのツールとして人気を博する遺骨ダイヤモンドですが、どうしても気になるのがその価格。合成といえど、列記としたダイヤモンドであること、そして合成プロセスが複雑であり供給元が限られているため、やはり高額になるのが最大のデメリット。
日本でメモリアルダイヤを扱う業者も多くなってきましたが、一番経済的なイエローダイヤで約20万弱~60万程度(0.1~0.3カラット程度)、特別な色素トリートメントが必要なレッドやグリーンダイヤモンド、またはカラットが大きくなると50~200万円程度の費用がかかります。
故人の魂に値段を付けるようで罪悪感を感じる方もいるかもしれませんが、ダイヤモンドに姿を変えて、これから一緒にいられると考えると、決して高くはない出費なのかもしれません。
また遺骨、遺灰の量が少ない場合は、頭髪や思い出の品から炭素を抽出する、または天然の炭素を混ぜることでメモリアルダイヤを合成することも可能なので、遺骨の量が少ない場合も対応できることも覚えておいてくださいね!
参考URL
http://www.algordanza.co.jp/
https://www.lifegem.co.jp/
遺骨ダイヤからメモリアルサファイアへ!日本で制作可能な人工サファイアが話題
海外でしか合成できないメモリアルダイヤとは対照的に、Made In Japanで合成可能な宝石がメモリアルサファイアです。遺骨から作るダイヤモンドほど知名度はありませんが、ここではその魅力についてお話ししてみたいと思います。
参考写真
https://www.pinterest.jp/pin/726838827340193975/
カルシウムを融合させた遺骨サファイアとは?
メモリアルサファイアも基本的な合成方法は同じで、遺骨、遺灰や髪などから抽出した成分を利用します。合成ダイヤモンドとは若干違うプロセス、つまり抽出したカルシウムを天然サファイアに融合することで加工するのです。天然サファイアであることは間違いありませんが、実際カルシウムが融合されているので、成分的には全く新しいサファイアと言えますね。
国立行政法人産業技術総合研究所 と日本のいくつかの業者が共同で開発した技術であり、国内で約60~90日程度で合成が可能であり、必要な費用もダイヤモンドに比べるとリーズナブルな約15~70万円程度(0.1~1カラット程度)となっています。
なおサファイアにカルシウム成分を化学的に融合させているため、遺骨、遺灰などから抽出した成分が物理的刺激で剥がれ落ちることは一切ありません。ちなみに選べるカラーはダイヤモンド程のバリエーションはなく、ブルーとピンクの2色のみとなっています。
故人、ペットの手元供養の一つとして遺骨ダイヤモンドを制作したいけど、その値段と外国での合成過程に不安を覚える方にこそ、利用して頂きたいメモリアルジュエリーと言えますね!
参考URL
http://blue-wood.co.jp/
http://www.towani-tomoni.com/brand/sapphaire/
真珠大国の日本だからこそ!故人から育むパール
メモリアルジュエリーとしてのダイヤモンド、サファイアをご紹介してきましたが、最後に養殖真珠の雄日本だからこそ可能になった、養殖メモリアルパールにクローズアップしてみたいと思います。
参考画像
https://www.pinterest.jp/pin/504755070728771622/
パールを遺骨で養殖することができるって本当?
御木本幸吉が血と涙を流しながら日本の養殖真珠産業を形成して、既に100年以上が経過しました。真珠層の厚さが年々薄くなっていることは危惧せねばなりませんが、それでも日本の養殖真珠は世界で愛されています。ちなみにスペインのマジョルカ島にもマジョルカパールと呼ばれる、真珠成分をペタペタとコーティングした人工真珠がありますが、これは養殖真珠とは異なります。
世界のあちらこちらで、このような養殖物や人工パールが制作されていますが、実は遺骨成分を使用したメモリアルパールもジワジワとその知名度、人気を集めてきているのです。
シックなまん丸パールができるとも限らない、母貝と自然の織りなす形と艶が養殖真珠の魅力ですが、真珠の核を遺骨と粘土を混ぜて挿入し養殖することで、何と遺骨成分が含まれた養殖パールが完成します。
ダイヤモンドやサファイアと異なる点として、母なる海と母貝の生命力に合わせた養殖プロセスになるので、まとまった数の核入れをして出来上がる真珠は1粒だけではないということ。いくつかをパールジュエリーとして加工するのも素敵ですし、家族、親せきと形見分けのような形で分配することも可能です。
また真珠の核入れから、真珠の取り出し作業に立ち会うこともできるので、メモリアルパール制作の一旦を自分の手で担える点は大きな魅力といえるでしょう。
気になる養殖期間は約6~7カ月で、必要経費は約30万円(立ち合いを希望する場合は、別途料金がかかります。)ほどで、計3~18粒程度の真珠が最終的に手元に届くそうです。
もともと真珠は冠婚葬祭には欠かせないジュエリーですし、欧米でも死者を哀悼するためのモーニングジュエリーとして着用されるので、愛する人、ペットの遺骨、遺灰を使って養殖パールを作るのも理に適っているのかもしれませんね。
参考URL
http://www.inorinoshinju.com/index.html
まとめ
昨今、遺灰をペンダントの中に封入したり、ジュエリーブランドが故人を偲ぶデザインジュエリーを発表するなど、現代のモーニングジュエリーは非常に多岐にわたっています。その中でも遺骨、遺灰に頭髪などを、ダイヤモンド、サファイア、真珠などへ新たに息吹きを与えることは、まさに現代のテクノロジーがあってのこと。
賛否両論があるメモリアルジュエリーではありますが、愛する人、ペットを無くして立ち直れない方がこれらのジュエリーを身に着けて、明日への一歩を踏み出せるようになった!という声は非常に多く報告されています。メモリアルジュエリーは費用が高額になりがちですが、それ以上に安らぎ、愛情という、お金には代えられないかけがえのない存在になることは、もはや言うまでもありません。