デビアス社の素敵すぎるコピーが、大和撫子のハートをガッチリ掴んで離さない永遠の輝き。ダイヤモンドは女性にとってなくてはならない宝石ですが、ダイヤモンドの輝きにも負けない位の煌めきがあるダイヤモンド類似石の存在感に注目が集まっています。

今回はそんな影の主役に見えたダイヤモンド類似石の輝き、そしてその特性にクローズアップ!ダイヤモンドではないけれど、消費者にも愛され始めたその理由について徹底検証してみたいと思います。

鑑定師も騙される!最近のダイヤ類似石がダイヤモンド以上に輝いている?

鑑定士が合成ダイヤモンドを鑑定中

ダイヤモンド、この6文字は永久に変わらない女性の憧れ。なぜに女性は無色透明に煌めくダイヤモンドにここまで心を奪われるのか?は男性陣にとっては、まさに永久に解けない謎でありますが……

人気も価値も落ちることのないダイヤモンドですが、本物の天然ダイヤとなると、やはり財布の紐が緩んでくれない強気なプライスに溜息一つ。それではダイヤモンド類似石はいかが?ということで、昨今増えてきているダイヤモンド類似石の特徴と、その人気の秘密について迫ってみたいと思います。

そもそもダイヤモンド類似石って何?

ダイヤモンド類似石のペンダント

ダイヤモンドの価値を決めるのは①カラー、②カット、③カラット、④クラリティー(透明度)のいわゆる4Cが元となりその価値が決まります。(アンティークダイヤモンドにはローズカットのような、あまり輝かない!しかも内包物が気になるダイヤモンドも少なくありませんが、アンティークの場合はその歴史的価値がダイヤモンドの物質的価値を超越しているケースも多いのですが)

さて本題のダイヤモンド類似石に関してですが、読んで字のごとくダイヤモンドと似て非なる物理、化学的性質を持った天然、人工宝石のことを指します。それらのモース硬度や屈折率、分散率こそ幅がありますが、カットを工夫したりカラット数を大きくすることで、天然ダイヤモンド以上の存在感を指先、首元に与えることが可能です。

特に有名なダイヤモンド類似石としてはジルコンが挙げられますが、水晶、ペーストやストラスといったクリスタルガラス、またはマルカジットと呼ばれる黄鉄鉱も数百年前からダイヤモンド類似石としてジュエリーに多用されてきました。

まとめると、

①サファイヤ、スピネルなどのコランダム、トパーズや水晶などの天然に存在する宝石の、ダイヤモンド類似石。

②ガラスペーストなどの安価な素材を使った、模造ダイヤモンド類似石。(アンティークジュエリー業界では、アンティークガラスペースト専門のコレクターがいる位の規模で人気、価値が高いものも少なくありません。)

③キュービックジルコニアのような、明らかに打倒ダイヤモンドを目的に作られたザ・人工宝石のこと。ただしこれらは必ずしも宝飾品で使われるとは限らず、工業用にも多様されています。勿論これらの物理、化学的組成はダイヤモンドとは異なります。

の大きく分けて3つのカテゴリーに分けられるのです。

ダイヤモンド類似石とダイヤモンドの見分け方

最近は天然ダイヤと偽り安価なダイヤモンド類似石を買わされるパターンも見受けられるので、簡単にその見分け方について教授したいと思います。

ダイヤモンドは傷つかない

ダイヤモンド類似石は天然・合成ダイヤモンドと比べてモース硬度が高くないので、摩擦が起こりやすき傷がつきやすいものも少なくありません。特に石の角部は爪やメタルなどの接触により摩擦が起きやすいので、硬度が低いダイヤモンド類似石は角に傷が出来やすい点は押さえておきましょう。

ダイヤモンドは永遠の輝き

肉眼で見ても、ダイヤモンド並みの目がくらむ程の光沢、輝きが確認出来ない。ただし宝石鑑定師でさえ判断に困るようなダイヤモンド類似石も多いので、その判断は難しいのが現実です。

なんちゃってダイヤモンドテスター

天然ダイヤモンドの熱伝導率の良さを利用し、ダイヤモンドと思しき石を冷蔵庫に入れて取り出し、その表面に出来た曇りを観察してみる。天然ダイヤモンドであれば、すぐにその曇りは消えるが、ダイヤモンド類似石の場合は熱伝導率が低いので曇りがなかなか消えない。

最終的には宝石鑑定鑑別会社に依頼しよう

これらでなんちゃって簡易ダイヤチェックが出来ますが、あくまで気休め程度に留めるのが吉。「これって本当にダイヤモンド?」と困った時は、あまり自分の勘と見解に満足するのではなく、プロに鑑定を依頼するのが鉄則です。お近くの宝石専門店で依頼しましょう!。

合成ダイヤモンドもダイヤモンド類似石なのか?

上記でダイヤモンド類似石に関してのイロハを見ていきましたが、ここでは物理、化学的組成が全く同じの合成ダイヤモンドに焦点を当ててみたいと思います。

同じ化学組成

ます合成ダイヤモンドは、人間が故意に化学技術を結集して作り出したダイヤモンドなので、言い換えればダイヤモンドなのです!天然ではなく人の手が加わったことにこそ違いはありますが、石としての組成が同じなのでダイヤモンドであることには変わりなく、組成の異なるダイヤモンド類似石とは言えません。よく聞かれるのが、遺髪や遺骨を使った合成ダイヤモンドのモーニングジュエリーが有名ですね!

天然ダイヤモンドよりリーズナブル

天然ダイヤモンドと同等もしくはそれ以上の輝きやカラーバリエーションを、より安価に実現出来る為、ダイヤモンド市場にとっては脅威的であることは言うまでもありません。

また天然ダイヤと合成ダイヤの見極めはダイヤモンド類似石以上に難解であり、それこそ数千万単位の高額な機械がある宝石鑑定機関による判別でしか両者の見極めは出来ないことも覚えておきましょう。

Light Box Jewelry

ダイヤモンド類似石としてよく使用されるルチルやホワイトサファイアのリング
まだまだ天然ダイヤモンドありきの宝飾業界ではありますが、合成ダイヤモンドの勢いは止まることなく、あのダイヤモンドのデビアス社も重い腰を上げて、合成ダイヤモンド専門ラインである「Light Box Jewelry」を2018年9月からスタートするとのこと。

天然ダイヤと比べて1/10程度の価格で、永遠ではないけれど21世紀の消費者に寄り添った合成ダイヤジュエリーをリリース!2018年はデビアス社を中心に、ダイヤモンド業界に革命的風が吹きそうな予感がプンプン漂ってきますね!

人気沸騰中!ダイヤモンド類似石まとめ

ここでは天然、人工宝石の中でも特にダイヤモンド類似石として人気が高いものをいくつかピックアップしてみたいと思います。気になる宝石がある場合は、是非あなたの目とセンスでそれらの輝きを確認してみて頂ければと思います。

天然ダイヤモンド類似石

まずは天然鉱物によるダイヤモンドに負けず劣らず魅力的な、ダイヤモンド類似石をご紹介したいと思います。

ジルコン

大概キュービックジルコニアと混同されてしまい、安価なダイヤモンドの模倣品と思われてしまう不憫な私のジルコン。モード硬度7.5、ダイヤモンドにも負けない輝きを持つジルコンは、勿論人工宝石ではなく、列記として古代ギリシャ時代からの歴史を持つ天然宝石です。

それが持つ宝飾史と反比例して地味な印象のジルコンですが、天然のダイヤモンド類似石は、その存在なくしては語れません。

屈折率も分散率もダイヤモンドには若干劣るものの、十分ダイヤモンド代用品として匹敵するスペックを持つ鉱物であり、なおかつ天然ダイヤの約1/100程度という最高のコストパフォーマンスを誇ります。

またレッド、ピンク、ブルーにイエローなどファンシーカラージルコンも豊富なので、本物のカラーダイヤモンドに手が届かない方も気軽にゴージャスに着飾れるフットワークの軽さが自慢の宝石です。特に鮮やかなブルージルコンは若干お値段が張りますが、バイヤー、消費者の間でも高い人気を誇ります。

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無色サファイア

サファイアのモース硬度は9と高く、とにかく硬く丈夫なのでダイヤモンドの代用としてセンタストーンとしての存在感を十分発揮可能です。サファイアと言えば青ですが、様々なファンシーカラーサファイアが存在し、特にホワイトサファイアがダイヤモンド類似石として利用されています。

モーセがシナイ山で受け取った十戒の石板がサファイアであったという伝説や、歴代の司教の強力な護符として使われたのもサファイアであり、なにかと神の恩恵を享受できる宝石として古代から愛用されてきました。

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水晶(ロッククリスタル)

無色透明な宝石として真っ先に思いつくのが水晶ではないでしょうか?パワーストーンにも使われ、サザレ状のものは浄化用水晶としても人気を博していますね!

この水晶もジュエリー史には欠かせないダイヤモンド類似石の一つとして有名で、高価なダイヤモンドの代用品として王侯貴族の指に嵌っていた歴史を持っています。

宝石自体は遥か古代から存在しており、紫色の物はアメジスト、黄色の物はシトリンとして知られており、特に占いや呪術などに多用された歴史を持っていることも興味深いですね。教会では己を汚れから遠ざけ、清らかな信仰の象徴にもなっています。

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トパーズ

インペリアルトパーズのような黄金色のトパーズが有名で、カラーバリエーションが豊富なのがトパーズの特徴です。しかし天然のカラートパーズは意外に多くなく、加熱処理等を施すことで、故意に色を付ける場合が殆ど。

無色のトパーズの屈折率こそジルコンより低いのですが、それでもカットを工夫することで、ダイヤモンドのような輝きを実感することが出来ます。

因みにトパーズは紅海にあるトパゾス島由来であると考えられており、長らく太陽と関係の深い宝石として知られてきました。

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人工宝石によるダイヤモンド類似石

ここでは人工宝石によるダイヤモンド類似石をいくつか紹介したいと思います。合成と言えどその煌めき、輝きはダイヤモンド同等もしくはそれ以上の物も多く、一概に価値がないものと決めつけるのは、まさに愚の骨頂とも言えるのです。

キュービックジルコニア

誰もが知るところのキュービックジルコニアの登場です。ダイヤモンド並の屈折率を誇り、モース硬度8.5のスペックを持つキュービックジルコニアは、英語の頭文字をとってCZとも表されます。

ジルコニアと呼ばれる金属にいくつかの物質を添加することで合成されるキュービックジルコニアですが、前述のジルコンはキュービックジルコニアの略称と勘違いしている方も少なくありません。

列記とした人工宝石なので鉱物的価値は期待出来ませんが、天然ダイヤモンドに手が届かない若年層に多くの支持を集めています。

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ガトリウム・ガリウム・ガーネット

ガトリウム・ガリウム・ガーネットとは人工ガーネットの1種でありながら、天然ガーネットとは異なる自然組成の人工宝石です。化学組成によりイットリウム・アルミニウム・ガーネットやイットリウム・アルミニウム・ガリウム・ガーネットなど、異なる人工ガーネットが合成可能で、その中でも特に屈折率が高いものが、ガトリウム・ガリウム・ガーネットです。

その頭文字をとってGGGと称され、その高い分散率が故、天然ダイヤモンドと同等の煌めきを有します。ただしその分モース硬度が6.5と低い為、角部が摩耗しやすく脆い点がデメリットと言えるでしょう。

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合成モアッサナイト

ダイヤモンド以上の屈折率、分散率に熱伝導性を誇り、ダイヤ以上にダイヤらしいと市場で大絶賛された、鑑定士泣かせの人工宝石が合成モアッサナイトです。モース硬度も9.5と申し分ない硬さを誇りますが、地球上では自然界に殆ど存在していない為、流通しているモアッサナイトはほぼ100%が人工物になります。

鑑定がなかなか難しいことでも知られますが、内包物が二重に見えるダブリング現象がみられることが特徴です。

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合成ルチル

ダイヤモンドを上回る屈折率と分散率を誇りますが、天然ルチルの透明度はダイヤモンドと比べて高くないので、ダイヤモンド類似石として利用されるのは合成ルチルです。

素晴らしい虹色の煌めきを見せる合成ルチルですが、ダイヤモンドと比べても硬度が低く、昨今殆ど市場に見られなくなった希少ダイヤモンド類似石です。

天然ダイヤ以上の美しさを誇るが故にその姿を消しさったと言われており、まさに闇夜に輝くミラーボールのような煌めきを誇り、地球で一番美しい合成宝石とも言われています。

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ダイヤ類似石を身に着けるメリットとデメリットについて

人工、天然宝石と言えど、その特色はそれぞれ異なり、値段が高ければいい!内包物があるから品質が悪い!という訳でもなく、身に着ける人の価値観によって、価値以上の付加価値が生まれるのが宝石の真骨頂。

あまりそれらの優劣はつけたくないので、ここではダイヤモンド類似石を選ぶ上でのメリット、デメリットという観点で、それらの魅力に迫ってみたいと思います。

メリット

0.01カラットの一粒の屑ダイヤでも、それが発する煌めきの強さは女ココロをくすぐります。婚約指輪、または結婚指輪などに人気のソリティアダイヤモンドリングは、小さな爪がしっかり永久不滅のダイヤモンドを抱え込むそのキュートさ、シンプルさに人気を集めています。

このようにダイヤモンドは男性から女性に送る最高のギフトであり、まさに給与3か月分とデビアス社が宣伝したように、高額な買い物になることは否めません。

だからこそ、経済的でありながら贅沢なカラット数を楽しめるダイヤモンド類似石は、周りの女性と差別化を図れる一つのツールとなっていくのです。

本物志向の女性はダイヤモンド、それ以外はダイヤモンド類似石という方程式は必ずしもなりたちませんし、それぞれの宝石には紡いできた歴史と石の特徴があります。だからこそダイヤモンド類似石=価値がないものと決めつけるのではなく、TPOに分けてその輝き、大きさを楽しむことこそが大きな魅力なのです。

しばしハリウッド女優が旅行などの出先でフェイクジュエリーを所持するのと同様に、旅先や海などで紛失の恐れがある場合は、ダイヤモンド類似石の存在感も大きくなってきます。

また世界には~ダイヤモンドといった、地名を形容したジルコンや水晶などのダイヤモンド類似石がワンサカあるので、それらの特徴やヒストリーを自分なりに調べてみるのも、石の魅力を再発見出来て面白いかもしれませんね!

デメリット

デメリットとして挙げられるのが、ダイヤモンドと比べて精神的な満足度が不十分だという点が挙げられます。パッと見の輝きこそダイヤモンドと同等ではありますが、永遠の輝きを身に着けているというプライドこそ、そこからは生まれません。

それこそダイヤモンドは世界の王侯貴族から愛され、数百年の時が流れても同じ輝きと価値を継続して見せつけます。ダイヤモンド類似石はそのカジュアルな使いやすさこそ人気の秘訣と言えますが、あくまでダイヤモンドと同等の精神的豊かさや後世に伝えるような材質的価値こそ期待出来ない点はデメリットと言えるでしょうか。

まとめ

宝石の王様として不動の人気を誇るダイヤモンドですが、プレミアム世代の注目の的はダイヤモンド類似石に集まり始めているのです。

経済的にもお財布に優しくて、日常使いにもピッタリ!尚且つ本物のダイヤモンドでは到底実現出来ないゴージャス感を楽しめるとあって、もはや人気に火が付かない理由は「天然のダイヤモンドではない!」という要素以外には見当たりません。

ダイヤモンド類似石に関しては賛否があると思いますが、その価値と品質をよく理解しさえすれば万人にオススメ出来る宝石として、人気を博すことでしょう。