私の結婚指輪はシルバーです。決して高い素材ではありませんし、ブランドものではありません。しかし結婚指輪という唯一無二の付加価値がある指輪は、決して宝石や金属に依存しない価値が出てくるものなんです。
さて今回のコラムは、結婚を考えているそこのあなたに知って欲しい、レアメタルの結婚指輪という選択肢について。リング加工が可能な金属って、あなたが思う程に少なくないのです!
なんで今レアメタルの結婚指輪なのか?そもそもレアメタルって?
シルバーの酸化具合が好きな人、プラチナではなくホワイトゴールドが好きな人。人それぞれお気に入りの金属は異なります。例えばゴールドと一言で言っても、その純度や配合を変えれば硬度も色合いも異なりますよね。それぞれの金属が独自の魅力を持っているので、あなたの心にグッサリ刺さる、そんな金属を選ぶのが吉。
今回ご紹介するレアメタルは希少金属と言われるもので、まだまだリング素材としては下火です。それでも昨今結婚指輪として大人気を博するその人気についてお話したいと思います。
レアメタルってどんな金属?
レアメタル=希少金属、どこかで聞いたことがあるという方は、きっと化学の周期表を思い出すことでしょう。レアメタルつまりマイナーなメタルを簡単に説明すると、貴金属の中でも発掘が困難で採掘量が少ないもの、それぞれの金属特性により加工が大変難しい金属と言えば分かりやすいですね。
レアメタルは通常ジュエリー加工には適しておらず、医療用や機械部品などに多く用いられます。しかしその名の通り大変レアな存在なので、市場価格も高く、金細工職人泣かせの難加工が故にコストパフォーマンスは決して低くありません。
金属アレルギーでも着用出来る魔法の素材
レアメタルが結婚指輪として人気を集めてきた理由として、どちらかが金属アレルギーを持っている方の支持を集めているからです。イオン化傾向という言葉をご存知でしょうか?つまりは金属イオンが溶け出す現象を表したものですが、「貸そうカナ、まあ当てにするな、酷すぎる借金」というわけの分からぬ語呂合わせでイオン化傾向を暗記した方も多いと思います。
つまりはこのイオン化傾向が低い金属(例えば銀、プラチナ、金など)は、金属イオンが溶け出しにくい為、お肌に優しく金属アレルギーのトリガーになるにくいのです。ただし純度の高い金属は柔らかいので、幾つかの金属を加えて強度を補強する必要があり、その結果ゴールドやプラチナでも配合金属のイオン化により、金属アレルギーを発症する方も少なくありません。
しかしレアメタルと呼ばれる金属は件のイオン化傾向が低いのと同時に、硬度が高い為、他の金属を混ぜることなく加工出来るので、金属アレルギーも非常に出にくいのが特徴。それぞれのレアメタルのイオン化傾向や生体親和性は異なりますが、耐食性も高い為、金属アレルギーの方にも安心して日用使いが可能なのです。
唯一無二の素材とオリジナリティーが愛とリンクする
既定路線であった金、銀、プラチナの結婚指輪を楽しめない方だっているんです。しかしレアメタルのジュエリー加工が可能になってきた今だからこそ、様々な特徴を持つレアメタルで、あなただけの愛の形を表現出来る。
なんと素晴らしいことでしょうか。お肌が弱いが故に、結婚指輪を諦めていた方にも安心して、ジュエリー制作を楽しめるわけです。
レアメタルの結婚指輪はオーダーメイドが基本!カルティエやティファニー、ブルガリなどのハイジュエリーブランドでは、勿論レアメタルの結婚指輪は販売していません。(鋳造による大量生産が出来ない為)だからこそ愛する二人のアイデア、デザインという∞の引き出しが、この世で1つの結婚指輪を作り出せるのです。
”ブランド力とは異なるオリジナリティー”
”男性でもクールに楽しめる結婚指輪楽しみたい方”
”お肌が弱く指輪購入を諦めていた方”
にこそレアメタルの結婚指輪を強くオススメ致します。
○結婚指輪に加工可能なレアメタルはコレ!
ここではレアメタルの幾つかを抜粋して、その特徴についてご紹介したいと思います。
タンタル
タンタル……私も最近始めて知ったレアメタルです。なんでも宇宙区間で2番目に希少な物質らしく、タンタルと言う名前以上に興味をそそられてしまいます。タンタルには2種類の同位体が存在し、タンタル180mlは宇宙の中でも最も少なく、その名前はギリシア神話のタンタロスが由来です。
ブラックホールのような漆黒の黒(見たことありませんが)が鈍く輝き、非常に硬いレアメタルとして、特に最近は男性に人気があります。
原子番号73番でイオン化傾向も低く、電子器具やコンデンサーなどに主に使われていますが、人体に悪影響がない為、人工関節などにも利用されている安全物質です。
ジルコニウム
最近はジルコムウムの話題を聞くことも多くなりました。今回はレアメタルの結婚指輪をテーマにコラムを書いていますが、ジルコニウムは歯科治療に使われるジルコニア素材でもあります。セラミックで綺麗に歯並びを整える方も多いと思いますが、今はジルコニア素材の人工歯がより強度も審美性も高いことで人気が出てきているのです。
さてこのジルコニウムは、不動態を形成し、金属が溶け出さないので、やはり金属アレルギーの心配はありません。またジルコニウムは見た目がプラチナに似ていますが、更にその美しいカラーグラデーションの酸化皮膜を楽しめます。
勿論人工歯として使われる位なので、その強度も抜群で、日常生活で付けっぱなしにしても全く問題がありません。
ニオブ
なんだかファンタジー臭溢れるネーミングが心に刺さるニオブですが、こちらも金属アレルギーを起こしにくい素材として知られています。
見た目は少し暗いプラチナのような輝きですが、ニオブの性質としてはタンタルに類似しており、また周期表の両隣のモリブデン、ジルコニウムとは金属感が似ていると言えばいいでしょうか。
こちらもその存在自体と同じく、加工する業者が殆どない為、マニアックな方にこそオススメしたい金属と言えるでしょう。また酸化皮膜による発色効果も楽しめるので、シンプルデザインからバリバリの存在感ある結婚指輪まで対応可能です。
イリジウム
イリジウムは原子番号77番、つまりプラチナの1つ手前、金の2つ手前に位置しています。金属組成がプラチナに近いこともあり、レアメタルの中でも大変高額です。もはやチタンの指輪と比べると、失神してしまうレベルの高価さです。
ただしその金属的な輝きはプラチナ以上の白い艶を誇り、強度もプラチナの5倍以上を誇ります。プラチナよりも高価で、そしてプラチナよりも美しい、まさに純白の花嫁にピッタリではないでしょうか。
しかしレアメタルの中でもイリジウムの指輪加工をしているジュエラーが少ないことと、宝石を留めることが出来ない、そしてものすごく高いので、必ずしも頭に描いているデザインのものが予算内で出来るとは限りません。
以上幾つかのレアメタルを独断で抜粋し紹介してきましたが、これら以外にもハフニウム、バナジウム、レニウムなどによるリング加工も可能です。
またレアメタルではありませんがレジン樹脂や木材によるリングも最近流行していますが、正直これらの素材は結婚指輪には向いていません。流石に、木の結婚指輪はちょっと、アレですよね……
レアメタルの結婚指輪、どこで購入出来る?また予算はどれくらい?
パラジウム、タングステンやチタンの結婚指輪はしばしジュエリーショップでも見かけるようになりました。しかしタンタルやイリジウムなどのザ・レアメタルの結婚指輪は、レア中のレア。
さてこれらのレアメタルの結婚指輪、一体どこで購入出来るのでしょうか?
購入可能ジュエラーは正直少ない
主流を挙げるとしたら、やはり高級感溢れるゴールド、プラチナに勝るものはありません。基本これらの宝飾品に使われる金属と異なり、レアメタルは産業に使われる地味な存在です。そして加工が難しい為、ジュエリーに応用出来る職人が大変少ないのが事実……
その為日本においてもレアメタルのオーダーメイドリングを提案、加工してくれる所は、指の数を数える程。その為、レアメタルでの結婚指輪購入を考えている方は、レアメタルに強い以下のジュエラーさんに相談しましょう。
①TOKYO DIAMOND
TOKYO DIAMONDの設立者、廣瀬一京氏はまさにレアメタルの申し子。彼自身の奥様が金属アレルギーだったこともあり、二人で金属アレルギーの心配なくして結婚指輪を付けられる素材は?から始まったのが、彼のキャリアの始まりだったそう。
現在ではタンタル、ニオム、ハフニウムなど他のメーカーが取り扱っていないような、超希少メタルを使ったオリジナルリング制作を行っています。新聞やテレビなどのメディアにも取り上げられた、まさにレアメタルリングの第一人者率いるブランドと言えるでしょう。
彼のレアメタルの情熱は凄まじく、安全性が確率された貴重価値の高いバナジウムやレニウムでの結婚指輪の作成にも成功しています。指輪を制作する側もすごいですが、レニウム、バナジウムで作ってください!と言うカップルがいることにも、正直驚いてしまいますが……
興味のある方は様々なデザイン、リクエストと一緒に、是非一度相談に乗ってもらいましょう。尚予約が混み合っているので、レアメタルリングの完成まで数ヶ月~半年ほどかかる場合もあるので、時間には余裕を持ってオーダーしてくださいね。
参考HP http://ringology.org/pineapple1/
②SORA
ブライダルジュエリーブランドの地位を築き、多くのカップルにまるで虹色のようなオリジナリティー溢れる結婚指輪を届けているSORA。店舗に行かずともデザイン出来るフットワークの軽さも自慢です。(レアメタルの種類、デザインによっては店舗に行く必要があります)
レアメタルに関しては特に七色に輝く酸化皮膜が美しいジルコニウムの結婚指輪が自慢!輝く七色の皮膜に関してはお好きな色をチョイス出来ますし、その後のアフターケアもぬかりないので、皮膜が薄くなった際も安心です。
オーダーメイド以外でも様々な形状、デザインのモデルから結婚指輪を選ぶことが出来るので、気になる方は一度HPを見てみましょう。
参考HP http://www.sora-w.com/
予算はレアメタルの種類、デザインにより異なる
レアメタルの値段は、レアと形容詞が付いているからと言って、必ずしも資産価値があるわけではありません。親から子、孫にジュエリーを資産として残したいのならば、金銀、プラチナなどの王道資産価値があるものをを勧めいたしますし、アンティークジュエリーには古いと言うだけで付加価値が付きます。
18世紀のイギリスにはピンチベックなる時計職人が考案した金を含む合金ピンチベックと言う物があり、アンティーク業界では高値をつけています。因みにこのピンチベックが考案したオリジナルの配合率は伝わっておらず、後世の金細工職人は独自の配合率で擬似ピンチベックを作っていました。
さて話しは逸れましたが、レアメタルの中でもプラチナに近いパラジウムやイリジウムは高値で取引されており、チタンやタングステンはそこまで高くありません。レアメタルだけでなくそれぞれの金属はその瞬間瞬間、時価は上下します。レアメタルの結婚指輪は、その素材自体の価格プラス指輪加工費用、デザイン加工費用、宝石セッティングや皮膜形成などのオプションによっても異なります。
先ほどご紹介した2サイトを参照すると、TOKYO DIAMONDの非常にシンプルなタンタルリングは216000円。SORAのブルーの発色が美しいジルコニウムリングはダイヤモンド埋め込みで約230000円程。デザインがシンプルになればなる程、お値段は抑えられますし、ダイヤモンドナシ、発色皮膜ナシならば、よりお財布に優しく購入可能です。
レアメタルはゴールド、プラチナにはない独特の煌きや硬度、そして発色が魅力なので、あまりに値段を意識してしまうと、オーダーメイドでリングを作る楽しみが半減してしまいます。
もし値段を極力抑えてレアメタルの結婚指輪を作りたいと言う方は、チタンの指輪がオススメです。しかし離婚をした際に質屋で換金することは出来ません。(チタンのリサイクル市場が形成されていないので)勿論金属アレルギーにもなりにくく、更に皮膜効果も楽しめるので、人とは違う結婚指輪のオシャレを楽しめることでしょう。
参考リンク(チタンリング) https://bijoupiko.com/brandlist/titanio/
レアメタルのリングで愛を誓うメリットとデメリット
ここでは簡単にレアメタルによる結婚指輪の特徴から考えられるメリット、デメリットを挙げていきたいと思います。
メリット
レアメタルの結婚指輪を選ぶ上でのメリットは以下が挙げられます。
①傷が付きにくく、日常使い、または特殊な職業環境の使用にも耐えられる
②金属アレルギーの心配がない、もしくは大変少ない
③金属によっては酸化皮膜による美しい遊食効果がある
④希少性があるので、オリジナリティーを実感できる
万人にオススメ出来る金属素材ではありませんが、結婚指輪選びに幅広い選択肢が出てくるのは確かですし、何よりその珍しさから指輪に大きな愛情を抱けることは否めませんね。
結婚指輪をしない男性にも、指先のオシャレとしては十分過ぎる程の魅力があるので、金属アレルギーでなくても、男性には特にオススメしたいです。
デメリット
金属アレルギーが出にくいという究極のメリットを前にしても、やはりレアメタルにも弱点はありました。
①サイズ直しが難しい、または出来ない(金属により異なりますが、大幅なサイズアップ、ダウンは難しいのが現実です
)
②ブランド取り扱いが少なく、その殆どがオーダーメイド製品
③コスパが悪く、カップルでオーダーすると高額になってしまう
④レアメタルによっては資産的価値が期待出来ない
⑤加工が大変難しいので、宝石のセッティング等が出来ない場合がある
などが挙げられます。
レアメタルの希少性とオリジナリティーに惹かれる方も多いと思いますが、一生に一度の結婚指輪選びには、その金属の特性やデメリットをよくよく承知してからオーダーしましょう。
まとめ
いかがでしたか?今回は別の目線で結婚指輪の素材を眺めてみました。
広い世界には私達が全く知らないような金属が存在していて、それぞれが唯一の輝きと魅力を放ちながらリング加工を待っているのです。
金属アレルギーだから結婚指輪は諦めている方だけではなく、素材の素晴らしさと遊び心溢れるその魅力を楽しみたいカップルの方にも強くオススメ致します。