この世には自然と偶然が織り成す産物というものがあります。それは動植物だったり、宝石だったり……今回ご紹介するのは、こんなにも美しい宝石があるのか!と空いた口が塞がらないファイヤーオパールのご紹介です。もうおばあちゃんの為の宝石なんて呼ばせないぞ!

オパールの魅力とうんちく

人に個性があるように、宝石にも一つとして同じ姿形の宝石は存在しません。艶、インクルージョンに輝き、それぞれが持つ個性が時にアート作品を生むことがあるのです。

オパールってどんな石だっけ?

オパールは蛋白石と呼ばれ、特にオーストラリアやメキシコなどで産出されます。私達が想像するオパールの姿は、乳白色の内部にキラキラと光る虹色を覗かせるタイプ。このタイプのオパールをプレシャスオパールと呼び、遊食効果が見られます。宝石としての価値が高いのは、主にこちらのプレシャスオパールです。

内部に水分を含んでいるので、ドライな環境に置かれるとオパールの表面がひび割れてしまうなど、宝石としてのケアには注意が必要な繊細な石。オパールの殆どはカボションカットで真ん丸にカットされ、ピンキリのお値段でジュエリーとして加工されます。

私達の印象ではダイヤ、ルビーにエメラルドなど、3大宝石、5大宝石に押されて、むしろあまり存在感がない宝石。もしくは巣鴨の高齢女性の指に嵌っていそう!など、あまりポジティブな印象はありません。しかしその幻想世界を写したようなオパールは、しばし大変高額な値段で取引されます。

因みにヴァージン・レインボーと呼ばれるオーストラリア産の美しいオパールは、約1億円の値段がつけられ、世間をあっと驚かせました。

古くから王侯貴族に愛され、そしてイギリスのエリザベス女王の高祖母、ヴィクトリア女王には大変愛された宝石オパール。今ではネットでボタンを押すだけで、それなりのオパールを手に入れることが出来ますが、その裏側にある鉱夫の血と涙の汗、そして悠久の歴史の果に生まれた史実。そんなロマンを浮かべながら手にすれば、きっとオパールを見る目が変わっていくのではないでしょうか?

心を揺さぶる!夕日を閉じ込めたファイヤーオパール

ストレスばかり抱えて生きていると、いちいちトキメクことを忘れてしまうことがあります。素敵な宝石を目にしたら素直に感動出来る心、ずっと忘れないでいたいものです。

ここでご紹介するのは、鉱物愛好家、ジュエリーオタクだけに限らず、万人がその美しさにハッとするファイヤーオパールです。うーん、こんなオパールなら、絶対欲しい!御徒町あたりのジュエリー商が喉から手を伸ばして欲する姿が容易に想像できますね。笑

誰が付けた、このネーミング!夕日を閉じ込めたファイヤーオパールが凄すぎる

どこか懐かしい、そんな光景が人それぞれあると思います。丘に佇み、カアカアと泣くカラスの声に帰路を急ぐ……そんな幼少時代を思い出させる宝石が発見されました。

ファイヤーオパールの和名は火蛋白石ですが、通常のプレシャスオパールと対照的に情熱の炎を感じる和名ですね。今回ご紹介するファイヤーオパールは、その大産地であるメキシコからです。

参考リンク https://www.flickr.com/photos/zircons/4287166465/in/album-72157623653908340/

水の中に浮かぶ夕焼けのような雲を、あなたは確かにそこに見ることができるでしょう。入道雲のように天に昇るオレンジの雲、はたまた夕焼けに向かう煙のようにも見えますね。想像の数だけ、そのオパールの中にドラマを見出すことが出来るのです。

参考リンク https://www.flickr.com/photos/zircons/3720138621/in/album-72157623653908340/

このような個性的なオパールは遊食効果の幅により、しばし話題になります。今回の発見はフロリダ州立大学で管理人をするMr.jeff Schultz氏からもたらされましたが、今後もメキシコ、オーストラリアあたりから、アッと度肝を抜くようなオパールが発見されることでしょう。

因みにこちらのファイヤーオパールの持ち主であるJeff氏は、大の鉱物コレクターとしても知られており、この他にも素晴らしい宝石を所蔵している模様。例えばこちらのブラックオパール、まるで恐竜の卵から生まれた宝石のような、ミルクチョコレートに覆われたグミのような……何とも言えない宇宙空間がそこには広がっています。

参考リンク https://www.flickr.com/photos/zircons/4437868403/in/album-72157623653908340/

母なる大地とはよく言ったもので、これらの自然遺産を見ていると、小さなことで嘆き悲しむのがバカバカしくなってしまいますね!

もはや原石としてアートの域に達するオパールの美しさ……。いつかは私達のような一般人にも鑑賞の機会が与えられるように、美術館や博物館に展示されることを願わずにはいられません。

う~ん、私も欲しいぞ!

メキシコ産ファイヤーオパールがもはやファンタジー!

夕日を閉じ込めたファイヤーオパールをご紹介してきましたが、やっぱりファイヤーオパールの魅力は一言で片付けられません。ここではメキシコで産出された、鉱物的価値が高いファイヤーオパールを幾つか紹介していきたいと思います。

Dragon Breath ファイヤーオパール

何とも艶かしい照り、ゴロンとした転がる、そんなファイヤーオパールはDragon Breathと呼ばれています。勿論それぞれ個人が愛称を込めて付けたネーミングなので、ストロベリーオパールと呼んでみたり、龍の涙と呼ばれたり……

こちらも遊食効果が大変素晴らしく、どこかレッドスピネルやピジョンブラッドのような深紅の美しさにうっとり。通常このような珍しい遊食効果のファイヤーオパールを一般人が手にすることは難しいのですが、こちらはEtsyで購入可能なので、お金に余裕がある方は是非検討をしてみてはいかがでしょうか?

因みにお値段は日本円で約120万円です。果たして安い買い物なのか、高い買い物なのか、素人の私にはちょっと想像出来ませんね。

参考リンク https://www.etsy.com/listing/124796280/beautiful-mexican-carved-opal-e0044?ref=shop_home_active

マグダレーナのジェリーオパール

どこかストロベリーグミのように見えるこちらのファイヤーオパールも、言わずもがなメキシコ産です。マグダレーナ産のメキシコは大変質が高く、数十年前はファイヤーオパールに目をつけた日本人バイヤーが数多く訪れていました。

5グラムちょっとのファイヤーオパールですが、赤、オレンジ、黄色、黄緑に青……はっきりと分かるそれぞれの色合いが存在感を示します。

こちらはイギリス屈指のオークションハウスBonhamsで競売にかけられ、約70万円で落札されました。これくらいの大きさのルースならリングに加工したら、素敵かもしれませんね!

参考リンク http://m.bonhams.com/auctions/21032/lot/1378/

炎と珊瑚が共演したファイヤーオパール

こちらも大変珍しいメキシコン産のファイヤーオパールです。遊食効果というよりも、内部になんだか色んな構造物が詰まってる!そんな感じでしょうか?

小さなタワーに、どこか鉱物にも見える形状の模様も見られます。また顕著に見られるのが、まるで珊瑚のような模様……オパールという小さな海に、大小の珊瑚が生える。うーん、ありそうでなかったオパールですね。

まさに自然の神秘を感じずにはいられないファイヤーオパールでした。因みにこちらは既にソールドアウトということですが、上記の例からするとやはり100万円前後で取引されたのではないでしょうか?

参考リンク http://www.palagems.com/featured-stones-v1

画像のみ https://www.pinterest.es/pin/410460953511792483/

まとめ

今回はオパールの中でも特にファイヤーオパールに着目してみました。

夕日を閉じ込めたファイヤーオパールの存在感と美しさは、もはや右に出るものはありません。しかし世界を見渡すと、メキシコ産のそれなりに美しい遊食効果のルースが、若干値が張るものの購入出来るものなんですね。

生活にカツカツで宝石なんか買っていられない!なんて方も少なくないと思いますが、時には自然が生んだ美の世界へ時空旅行をしてみるのもいいのではないでしょうか?