ノアの箱舟でガーネットが照明として使われた時代から、夜会に舞うジュエリーが眩しいビクトリアン時代まで。どんな時代もジュエリーを愛した人は圧倒的に女性でした。昨今男性がジュエリーを愛でているのかと言うと、残念ながら男性用ジュエリーは結婚指輪で止まったまま。だけど、男性にももっとジュエリーの良さ!そしてカッコよさ!を再認識してほしいとの思いから、今回はメンズジュエリーのあーでもない、こーでもない雑学から、人気のブランドまで徹底解剖してみたいと思います。

メンズジュエリーが影を潜めた訳とは?

あなたの身の周りにはジュエリーを楽しむ男性はいますか?一時期若者に人気を博したインディアンアクセサリーやゴツゴツのクロムハーツ。流行と共に多くの男性に愛されたシルバージュエリーですが、付ける人を選んでいる感は否めません。メンズジュエリーに対する敷居が低くなってきたはずなのに、ジュエリーを楽しむ男性が多くないその理由は一体何なのでしょうか?

メンズジュエリーの遍歴を見てみよう

古来から女性を引き立ててきたジュエリーですが、歴史を紐解くと男性にも多くの愛好家がいたことは周知の事実。ジュエリーが女性主体になってきたのは、16世紀の後半以降。それ以前はむしろ男性の方が、装身具の装着にはより積極的だったことはあまり知られていません。

ルネサンス時代にはベルトのバックルから靴の飾りもの、モノグラムジュエリ-などが、地味に王侯貴族の男性達のファッションアイテムとして活用されてきました。15、16世紀には男性でもゴールドのチェーンネックレスをまとい、指には豪奢な宝石付きのリングを忍ばせた姿を、多くの肖像画で目にすることが出来ます。これらは時代と共に権力と富の象徴として身につけられたものですが、実は宝石が持つ魔力で自身を守る意味合いも含まれていました。

メンズジュエリーも女性と同様、流行に敏感であることは言うまでもありません。それと同時に世俗に適したダンディズムとオシャレ、そしてTPOに合わせたメンズジュエリーが、その時代時代に合わせて生まれそして消えていったのです。

メンズジュエリー選びが困難な理由

本質的に男性でもジュエリーを楽しみたい!ココロでそう思っている方は多いのです。しかし実際に着用するとなると、やっぱり自分には似合わない!メンズジュエリー=有名人やスポーツ選手など、キラキラ輝く舞台で活躍している人が身に付けるもの!そんな勘違いがメンズジュエリー選びを余計に難しくしてしまうのかもしれません。

ジュエリ-=女性という固定概念が邪魔をする

昨今多くのブランドがメンズジュエリーに力を入れています。シルバーアクセサリー一辺倒であった1990年代と比べても、様々な材質・デザインで男性もジュエリ-を選べる時代になってきました。しかしジュエリ-業界においてやはり主流なのが、女性向けラインなのは言うまでもありません。

まだまだ男性がジュエリ-を自由に楽しめられない風潮は、ファッションの仕掛け人が限られている点も挙げられますが、実は男性がジュエリ-に抱く固定概念こそが、メンズジュエリ-選びを難しくしているのです。

日常使い出来るジュエリーが少ない

それでもジュエリ-を日常使いしている男性も少なくありません。男性の脆弱化が叫ばれる昨今、より女性的でシンプルなデザインのメンズジュエリ-が好まれている傾向があります。ゴツゴツのシルバージュエリ-も男性的で素敵ですが、やはり仕事をする上で自己主張をしすぎないデザインが人気です。

ハイブランドには時代の流れを汲んだ、シンプルかつ多様なアイテムを揃えています。(例えばカフスボタンやクラバットピンなど)しかし大衆ブランドにはやはりゴロゴロした男性的デザインが多く、さりげなく日常使い出来るアイテムが少ない!こんな要素もメンズジュエリ-がまだまだ発展途上の理由の1つなのです。

【入門編】メンズに強いオススメブランドはコレだ!

その辺のセレクトショップでサクッとメンズジュエリ-を選ぶのもいいけれど……どうせジュエリ-を楽しむのなら、どんなシーンで身につけても恥ずかしくないものを選びたいですよね。様々なブランドがありますが、人気が高くメンズラインが豊富なブランドを幾つか紹介したいと思います!

カルティエ

1847年創業、いつの時代も女性にとって憧れのブランドカルティエ。リング、ネックレスからカフスボタンに筆記用具まで幅広いラインを揃えていますが、メンズジュエリ-にも力を入れています。値段こそ上は天井知らずですが、シンプルなリングやブレスレットは10万円以下で購入可能なので、ハイブランドでありながら背伸びをせずにジュエリ-を楽しめますね!出来る男、大人の男にこそ身につけて欲しい、そんな男性力UPのツールになること間違いなし!またカップルには結婚指輪で、同デザインを二人で楽しむのも乙かも!?

ジョージ・ゼンセン

100年以上の歴史を誇るデンマークの宝飾メーカー。シルバーを基調としてジュエリ-、時計だけでなく、食器からホーム用品も大人気!ザ・スカンジナビアンスタイルのスタイリッシュなデザインは、身につける人を選びません。エレガントプラスシンプルが自慢のジョージ・ジェンセンですが、特にメンズラインはスターリングシルバーの落ち着きある輝きのSMITHYコレクションがオススメ!派手さを抑えたデザインは、ハイブランド商品よりもグンとお手頃価格で購入可能です。

Damiani

イタリアの至宝とも言える工芸技術を受け継いだDamianiは、メンズでも宝石を楽しめる独創的かつ遊び心に溢れたデザインで人気のブランドです。ルビーにブラックダイヤモンド、そしてエナメル等を組み合わせた斬新なデザインは、ユニセックスで使いこなせる為、性別を超えた人気を誇ります。ジュエリ-にも個性を出したい芸術肌の方、もしくは自由業の方にこそ日常使いして欲しいブランドと言えますね!価格帯も20万前後から購入可能です!

最近のトレンドは?ハワイアンジュエリ-にONLY ONEのオリジナルジュエリ-まで

ブランド品でシックに男の株を上げるのもいいけれど、時代の流れも意識したい!ここでは今流行りのメンズジュエリ-のあり方をご紹介したいと思います。

ハワイアンジュエリ-とは?

イギリスのビクトリア女王が身につけたモーニングジュエリ-(喪に服する時に装着するブラックを基調としてジュエリ-)が由来と言われる、ハワイアンジュエリ-。ハワイ王室とも関連があるハワイ伝統のジュエリ-は、海の小波、ハイビスカスなどハワイの自然をモチーフに刻んだ唯一無二のジュエリ-のこと。

ハワイに特別縁はない!そんなメンズの方にも人気が高いその理由は、親しみやすいモチーフと宝石を使わずともさりげない存在感があるからこそ。手彫りのクラフトマンシップと、それぞれに宿る魂と言霊。オリジナリティ溢れるハワイアンジュエリ-はリングだけでなく、バングル、ピアスにライターまで……etc。

仕事柄極力シンプルなデザインのジュエリ-を!という方にはモチーフが内部に彫られたタイプ、また人生の格言やモットーを刻んで自身のお守り代わりに身に付けるのも素敵ですね!

デザインはあなた次第!オリジナルジュエリ-の魅力

最近結婚指輪や婚約指輪にオリジナルデザインのものを送り合うカップルも多くなってきました。時代に左右されず、自分だけの世界観を手首、耳そして指元に表現出来る、それってとても素敵なことですよね?デザインだけでなく、自分の好きな宝石を嵌めたい!材質は強度がある14kもしくはシックなホワイトゴールドで……そんなうるさいスパイスを盛り込んだジュエリ-だからこそ、愛着が沸くんです!

世界に1つだからこその割高感はありますが、自分がジュエリ-作りに参加出来る点も大きな魅力かもしれませんね。

ヴィンテイージ、アンティークを身に付ける意味

オリジナルジュエリーもいいけれど、古い時代のジュエリーには現代では見られない技術や表現、そしてロマンが詰まっています。例えばイニシャル入りのシグネットリングや鉄製のベルリンアイアンジュエリ-、幸運を呼ぶスネークリングなど個性的な作品が多いのも特徴です。変わり種としてフリーメイソン会員が身につけた、メソニックボールと呼ばれるパズル的要素が散りばめられたジュエリーも好奇心をそそります。ジュエリ-というよりはアート作品と形容した方がいいかもしれません。1つの財産、そして過去を覗き見するタイムマシンのように古のジュエリーを身に付ける、そんな楽しみ方も面白いですね。

またアンティーク、ビンテージジュエリーは、宝石やインタリオなどルースのみで購入することも出来るので、それを現代風にカスタマイズして身に付けるのもカッコイイかも!

まとめ

もっと男性にもジュエリーを楽しんでほしい!もっとその魅力を分かってほしい!そんな思いで今回のコラムを書いてみました。私自身も以前は全くジュエリーに興味がありませんでしたが、ふとしたことでジュエリーの虜になることに……きっかけは人それぞれですが、さりげなく自分と同化出来るジュエリーを身につけられたら。さりげないオシャレを楽しめたら……きっと毎日は、もっと楽しく輝いて見えるものなのかもしれません。