毎日身につけられるメレダイヤのリング、冠婚葬祭だけに使うシックなパールリング……ジュエリーは人生と言うドラマを鮮やかに彩る1つのツール。指先、首元にチラリと輝くジュエリーは、身につける者をそっと引き立たせるのに十分な魅力と価値を持っているもの。あなたはどんなジュエリー、宝石が好きですか?モダンジュエリーにハイジュエリー、様々なジュエリーがありますが、今回はアンティークジュエリーに焦点を絞ってその魅力をご紹介したいと思います。

アンティークジュエリーとは?

アンティーク、一言で表すなら骨董品でしょうか?しばしホテルや神社の境内でアンティークフェアだとか骨董市が開催されていますよね?アンティークとは美術的価値があり、尚且つ作られてから100年以上の時代が経っていることが定義付けられています。このアンティークの定義はアメリカの関税法が根拠になっており、これが全世界で共通の見解になっているのです。因みにビンテージとは、作られてから20年以上たった価値ある商品を指します。レトロも同義語に聞こえますが、レトロとは年代物に見える現代物にも当てはまる為、必ずしも骨董的価値があるとは限りません。

時代別にみるジュエリーの特徴と魅力

ジュエリーの歴史は大変古く、古代ローマ、ギリシャ時代にはインタリオが愛され、ルネサンス時代には豪奢で金をたっぷり使っているジュエリーが王侯貴族を楽しませました。ここではアンティークジュエリ-をジョージアン~アールデコに大別し、それぞれのジュエリ-の特徴についてお話したいと思います。

ジョージアン

アンティークジュエリ-におけるジョージアンという時代区分は、イギリスのジョージ1世が即位した1714年からビクトリア女王が即位する1837年までの時代を指します。とりわけこの時代のジュエリ-はアンティークの宝庫パリ、ロンドンでも数を減らし、良質なジョージアンジュエリ-を探すことが困難になっているのが現状です。

金が希少だったこの時代は、少ない金を十分活かす細密な金線細工が多く見られ、宝石の下に泊を敷き輝きを増すフォイルバックと呼ばれる技法が多く使われています。

ヴィクトリアン

ヴィクトリアン時代はヴィクトリア女王が即位する1837年から、崩御する1901年までです。ゴールドラッシュで金が次々と発掘され、ジョージアンの時代よりもざっくりたっぷりと金を使ったジュエリ-が多くなり、宝石のカット技術も大幅に向上しました。カメオや蛇のモチーフのジュエリ-が流行し、アルバート公の崩御後は死者を悼む為のモーニングジュエリーが大流行!遺髪を編み込んだり、歯をセットしたモーニングリングはディープなコレクターに人気です。

エドワーディアン

ヴィクトリアン時代が過ぎ去った1901~1910年代はエドワーディアンと呼ばれ、シンプルで垢抜けたモダンなデザインのジュエリ-が多くなります。天然真珠やプラチナを大胆に使ったジュエリ-が多く、ベルエポックでアンニュイな雰囲気が現代女性にも人気です。ゴールドからプラチナのホワイトカラーに移行し、モダンジュエリーの礎を築いたのがエドワーディアンの10年間と言えますね。

アールヌーボー

動植物、特に昆虫や木々、花びらの1枚1枚をカラーゴールドとエナメルで表現し、より芸術性が高いデザインが人気のアールヌーボーのジュエリー達。年代的には19世紀後半から1910年頃までを指し、ベルヌーイにより合成された人工石もしばしアールヌーボーのジュエリーに見られます。個人的にアールヌーボーの作品は、琴線に触れるようで好きなんですよね。

アールデコ

1910~1930年にフランスで流行した芸術運動で、アールヌーボーとはまた異なる幾何学的なデザインが特徴です。1925年に開催されたパリ万博の影響から、世界各国とりわけ東洋の影響も色濃く反映。プラチナやホワイトゴールドを用いたジュエリーも多く、男性の指にもしっくりくる力強くシンプルなジュエリーも少なくありません。アールデコは欧州、アメリカや日本にも広まり、特に建築物でも1つの時代を構築しています。

アンティークジュエリ-って高いの?

世界のアンティークマーケットやオークションを見てみると、目の飛び出るような価格でジュエリ-が取引されています。アンティークジュエリ-の相場を決めるのは、仕入れ値や為替の変動もありますが、やはり流行り廃りです。しかしアンティークなんて手が出せない!と断言するのはまだまだ早く、意外に手頃な価格で購入出来るジュエリ-も多いんです!

数万円のピアスから数億のダイヤモンドジュエリーまで

バブル期に大量に日本に入ってきたアンティークジュエリ-は、今では中国人バイヤーによって殆ど買い占められています。アンティークという美術的要素が付くだけで、宝石にゴールドだけの価値では測れない歴史的価値が生まれます。勿論1万円でお釣りがくるアンティークジュエリ-もありますが、最近ではイギリスのオークションハウスで約2500万円のイエローダイヤモンドが落札されたり……また著名な人物が身につけていたジュエリ-は、その付加価値も加算され、一言で相場を表すのが難しいのがアンティークジュエリ-の世界なのです。

アンティークショップ/HPを覗いてみよう

直接店舗に足を運ぶと、居心地が悪く感じてしまう方も多いので公式HPからスタートしてみてはいかがでしょうか?英語が堪能であればイギリスのディーラーのHPを観覧するのもOKですが、日本のショップもかなり詳しくアンティークジュエリーの豆知識を解説している所があるので大変勉強になるものです。

ここではオススメのショップをご紹介するので、暇つぶしに目の保養をしてみてはいかがでしょうか?

http://antique-gallery-soleil.com/ (アンティークの本場パリの日本人ディーラのHP)

アンティークジュエリーは投資になる得るのか?

ハリウッドでは美術品コレクターが多いのは周知の事実。レオナルド・ディカプリオはピカソの絵を所有していましたし、歴史オタクの歌手ケリークラークソンが、ジェーンオースティンの指輪を落札し損ねたことは話題を呼びました。(イギリスの国宝に指定され、輸出制限がかかった為)

好きだけでは留まらない、もはや投資の為にアンティークジュエリ-を集める方も実は少なくないのです!ここでは投資という観点から、アンティークジュエリ-の魅力にメスを入れていきたいと思います。

天然パールにブランドジュエリーが狙い目!

日本にはミキモトという素晴らしい養殖真珠のパイオニアがあります。真珠の歴史を塗り替えたのが日本のミキモトであり、欧州でもミキモトの養殖真珠がもたらされました。いくら良質な養殖真珠が溢れても、天然真珠の希少さは不変です。天然真珠の真珠層は厚い為、長い年月を経ても汚れや破損が少なく、アンティークでも美しい形状を保っています。

日本=養殖真珠ですが、天然真珠はといいますと実は中東が交易の中心となっていることは知られていません。世界的に天然真珠の高騰が続いていますが、それはアラブ人がこぞって中国人と競り合いを続けている背景があるのです。アンティークジュエリーに使われる真珠はその殆どが天然真珠である為、将来的にそれらのジュエリーはダイヤモンドを凌ぐ価値を持つ可能性も……しかし養殖、天然真珠の見分け方は大変難しい為、アンティークパールを購入したい方は信頼のおけるディーラーから購入しましょう。

またカルティエやブシュロンなどのハイブランドは、将来的にも価値が上がることはあっても下がることはありません。しばしこれらのビンテージ物が数十万程度で市場に出ることもあるので、その時は少し無理をしてでも購入した方がお得かもしれませんね。

どうやって本物と贋作を見極める?

投資をするにも、自分自身でアンティークジュエリ-を愛でる為にも、偽物を掴まされないジュエリ-選びが大切になってきます。よく出来たアンティークジュエリ-が本物に混じり、シレっと売られていることも多いので、初心者の方は要注意!長年ジュエリ-に触れてきた玄人でも最近の偽物に騙されることもしばしば。気になるリング、ネックレスをe bayで見つけたんだけど、値段が安く本物かどうか分からない……そんな場合は自己判断をせずに、プロの意見を仰ぎましょう。流石にネットの商品の真贋を、地元のアンティークショップには尋ねるのはアレなので、これらのサイトを利用してみましょう。

https://www.bonhams.com/how_to_sell/9882/ (こちらはイギリスのオークションハウス、Bonhamsの無料鑑定サービスです。)

https://prestigevaluations.com/online/(40ポンドでオンライン鑑定が可能です。2日以内にPDFで鑑定結果が送付されます。)

本格的に鑑定に出そうとすると立派な証明書付きで100ポンド!などなかなか高額な鑑定料が必要になってきます。その為オークション会社の無料簡易鑑定サービスなどを利用する方が経済的ですね。

まとめ

アンティークは好きでもジュエリ-と人形系はちょっと……という方も少なくありません。色んな曰くつきのジュエリ-が独り歩きして、呪いのジュエリ-と噂されてしまう時代です。でも裏を返せばそれだけ色んな人に愛され、時には憎まれながら生きてきた歴史とロマンが溢れている、それこそがアンティークジュエリの魅力なのかもしれません。

アンティークなんて高いに違いない!という固定概念が購買意欲を失わせてしまいますが、少し背伸びをするだけで購入出来る物も沢山あるので、肩の力を抜いてロマンと時空の旅に出てみるのもたまにはいいかもしれません。