メンズジュエリーとして思いつくのが、ゴツゴツのシルバージュエリーやタイピン、カフスボタンなどでしょうか。宝飾史を遡れば遡るほど、面白くかっこいいメンズジュエリーを絵画や版画の中に眺めることができますが、モダンジュエリーの範疇で男性用宝飾品市場は決して大きくありません。

そんな中で昨今注目を集めているメンズジュエリーがあります。シグネットリング、皆さんもどこかで聞いたことがあるかもしれませんね!今回は男性のトレンドアイテムになりつつあるシグネットリングについて解説していきたいと思います。

新時代の幕開けは小指ファッションから!シグネットリングがアツいその訳

昨今ビジネスマンからミレニアム世代~アラフォーまで、幅広い世代の男性からアツい視線を集めているメンズジュエリーがあります。

シグネットリング、どこかで聞いたことがあるかもしれない、印章を取る為に嵌めるタイプのリングのことです。

ここではそんなシグネットリングの歴史から着用方法、そしてなぜ今シグネットリングが人気を博しているのかについて解説していきたいと思います。

シグネットリングの歴史

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シグネット、日本語で説明すると「印象」のことです。現代の西欧では印章はあまり使われずサインで済ませますが、日本では本人確認の手段としてハンコを利用します。

つまりシグネットリングとはハンコ=印象の役割を持った指輪のことで、昔は手紙や重要な書類等のシーリングワックスの上に押し当て、自身のイニシャルなどを印章として残したのです。

宝飾品としての指輪、そして身分を証明する為の印、両者の特徴を兼ね備えたシグネットリングは、今から約5,000年前のメソポタミア文明まで遡ることができる長い歴史を有しています。

通常これらのシグネットリングは王族や貴族が見せる権威の象徴であり、古代エジプトでは「不老不死」、「自己再生」の一つとしてスカラベ、またはホルス神の目を模った印象指輪が作られ、いわゆる太陽信仰やお守りとしての役割も担っていました。

時代が進むにつれ、位の高い者が自身の家族の出自を示す紋章を貴石、またはベゼル部分の地銀に彫りこみ、一種の高潔なシンボリズムとして宝飾史に刻まれていくことになるのです。

貴族、王族同士の結婚で、お互いの家紋を組み合わせて新しい紋章が作られ、それをシグネットリングで表す。美術史においてこのシグネットリングに彫られた紋章を解析することは非常に意義のあることであり、紋章学者という家紋分析専門のプロフェッショナルによりその年代や家系を辿ることが可能になるのです。

英国紳士の象徴からさり気ないオシャレへの変貌

古典絵画の肖像画を見てみると、気取ってポーズを取る紳士の小指や画中にシグネットリングが描かれているシーンをよく見かけます。

現代では大学などの高等機関を卒業した証のカレッジリングとしても見かけますが、このシグネットリングは英国男子が唯一身に着けられるメンズジュエリーとも言われているのです。

勿論どんなジュエリーを男性が身に着けても問題は全くありませんが、階級社会が未だに色濃く残るイギリスでは、前述の通り自身の出自を示す証として身に着けられた伝統があります。

今でもふとすれ違う武骨な手をした英国紳士の小指には、大ぶりなゴールドのシグネットリングを見かけることは少なくありません。ギラギラの宝飾品とは異なる渋い、まるでいぶし銀のような大人の色気、気高さを感じる、それこそが真のメンズジュエリーなのかもしれません。

もしイギリス王室の男性メンバーを見る機会があれば、その小指を見てください。山吹色に鈍く輝くシグネットリングの存在を確認できるはずです。

シグネットリングを身に着けるマナーと楽しみ方

中世のヨーロッパ、シグネットリングはその謳歌を迎えた時期です。道行く商人は自身の屋号やイニシャルを刻み込んだリングが、そもそもの商売道具の一つとなっていました。そして法王の指にも「漁夫」のシンボルを刻み込んだ黄金で出来た指輪が作られ、印章として利用されたのです。

基本的にシグネットリングはワックスに押しやすいよう利き手ではない手の小指に嵌めるのが一般的。そして自分の家族の紋章またはイニシャルを身に着けるのが正統であり、シグネットリングのマナー。

しかし昨今はアンティーク、またはヴィンテージで心に刺さるモチーフのリングを選んだリ、神話や聖書に登場する図像や格言を護符的な意味や戒めを込めて愛でる方も多くなってきました。また比較的硬度の低い宝石にインタリオ(沈み彫り)を施したタイプのシグネットリングも人気があります。

英国紳士のメンズジュエリーというよりは、それこそエンタメ業界でも男女問わずに様々なモチーフのシグネットリングを幅広い尺度でお洒落として楽しむのが最近は流行しているのです。

イニシャル?それとも紋章派?シグネットリングでお洒落を楽しもう!

目は口ほどに物を言うと言いますが、男性のカッコイイは大きな手、そして逞しい指先に向けられることも多く、女性の目線から見ても小指に光るシグネットリングは男の魅力を底上げするアピールポイントになるもの。

ここではお好みに応じてカスタマイズ可能な、今大人気のシグネットリングをご紹介していきたいと思うので、ぜひ参考にしてみてくださいね!

英国老舗メーカー、アスプレイのシグネットリングが人気!

女性にモテたい、はたまた純粋にジュエリーを楽しみたい、シグネットリングを身に着けるそのきっかけは人それぞれ。そしてどんなタイプのシグネットリングを選べばいいのかは、あなたの好み次第。

プレーンでイニシャルも何もないタイプ、先代の持ち主に愛され摩耗したヴィンテージ、アンティークのシグネットリング、またはモダンのカスタマイズリング……。

シグネットリングの選択肢の幅は比較的多く、最近ビジネスマンに人気急上昇なのが英国の王室御用達ジュエラーのアスプレイ。アスプレイと言えば1781年に設立されたイギリスを代表する高級宝飾店であり、ジュエリーのみならずバッグやポーセレン、ガラス製品やレザー加工品など幅広いラグジュアリーを提供する英国の歴史ともいえるブランド。

今回ご紹介するアスプレイのシグネットリングは、100年以上前のデザインを元に復元された古のリングのモダンヴァージョンと言えば正しいでしょうか。定番の楕円もしくは四角形のベゼルの18Kシグネットリングは、ベゼル部の大きさ、そして刻む紋章、イニシャルまでオーダーメイド。

基本的にこれらは受注生産であり、彫りのデザインやベゼルとのバランスを相談しつつ専門の職人によって手作りで制作される為、通常3~4か月納期がかかるそう……。

クラシカルで洗練されたリングは意外にも仕事、プライベートなどシーンを選ばず身に付けられる、そして指馴染みもいいと好評です。

アスプレイのシグネットリングを身に着けフィッシュアンドチップスを食しても本物の正統は英国紳士にはなれません。しかしそんな伝統の香りをカジュアルに楽しみながら、自身のイニシャルや家紋、モットーなどを刻み込み、世界で一つだけのオリジナル印章リングで洒落た小指のお洒落を楽しむのも素敵ですね!

まとめ

男性にとってリングの取り扱いは難しい側面がありますが、西欧では意外なほどに男性の小指に大振りのシグネットリングが光っているシーンを見かけます。結婚指輪同様に自身のイニシャル、家族の家紋を彫ったリングを付けっぱなしにしたり、いくつかのパターンのシグネットリングを使い分けたりと、その楽しみ方は人それぞれ。

メンズリングは必ずしもシルバー製のハードコアスタイルのものばかりではありません。小指にシグネット、そんな控えめなスタイルでも十分男性としての魅力を助長する素敵なファッションスパイスになること間違いなし!

ぜひあなたもお気に入りのシグネットリング選びをしてみるところから、始めてみませんか?